静穏の日々

好きな音楽、テレビなどの趣味を気ままに。

水曜日のカンパネラの2015年。

謎の美女・コムアイと、メディアにほとんど登場しない男・ケンモチヒデフミ&Dir.Fの3人で構成される異色のヒップホップユニット、水曜日のカンパネラ。彼等の2015年の活動っぷりは凄かった。

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水曜日のカンパネラ、通称・水カンの人気に火がついたのは、恐らく去年の11月。YouTubeにアップされたヤバいMV、その名は「桃太郎」。

「桃太郎」といえば国民的に有名な童話であるが、この動画(歌、映像含めて)は、それまでに抱いていたイメージをふっ飛ばすような「謎のインパクト」のあるものであった。空想世界であるにも関わらずやけに現実的な歌詞、そして中毒性の高いリズム。これはハマる人が続出するのも分かる。
が、正直いうと個人的には、最初は好きではなかった。ひたすら「うわぁ・・・なんだこれ・・・」みたいな。絵がなんか不気味だし、これどんな人たちが歌ってるんだろう・・・と考え、イメージはやはり「ヤバい人たち」としか思えなかった。
が、そんなこんなで2015年になり、ボーカルの「コムアイとかいう名前の人」がヤフオクのCMに出だし、報道番組にもちょいちょいインタビューされだして見えてきた彼らの姿は、今まで抱いてたイメージとちょっと違ったのだ。

その、僕が「おぉ。」と驚いた映像がこちら。

https://m.youtube.com/watch?v=df9prI10kj0&itct=CBkQpDAYAiITCI_a59yV48kCFUEWWAodBf4OGTIHcmVsYXRlZEirh6Gi6JGF8eIB
(※リンク切れ)

「多分平成の時代で、色んなJ-popが出てきて情報過多なんだと思います。思いや歌詞が氾濫し過ぎていて、もうちょっと抜けのいい落ち着いたもの、もうちょっとバカなものが聴きたいというか・・・膨らんだ風船に穴を開けるようなイメージです、自分たちがしていることは。」
「見ている人が[自由な方がいいんだな]と思ったり、その日気分がよく晴れた気持ちで過ごせるといい。決まった事を崩していいんだと思ってもらえるきっかけになりたいです」

いやー、これには驚いた。こういう気持ちで音楽をつくっていたんだな。これを見て僕は凄い納得したし、コムアイの言う通り、[自由な方がいいんだな]と思ってみたくなった。自由の象徴である彼らについていきたくなった。そんな訳で、今年どんな活動をしてきたのか追うことになった。
で、更に驚いたのが、今年YouTubeにアップされたMUSIC VIDEOの数だ。その数、なんと10本!短期間にこんなに動画をアップする歌手は、なかなか珍しいのではないか。

では、一つ一つ見てみよう。
①1月1日アップロード:「ジャンヌダルク

まさかの元旦にアップ。これには前から応援していたファンもビックリであろう。新年早々、え!?みたいな。内容は、バスガイドに扮したコムアイを映したものなのだが。

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そしてこの顔である!!
手旗をもったら皆Say Hoo!!!!
なんだこの演技力(+表現力)!!!一人でこれだけ撮り直してるんだからな!もっと評価されるべきじゃないか!?ナントカ女優賞あげてほしい。


②3月6日アップロード:「ナポレオン」

まず、これを見て最初に、(お、いつもと雰囲気が違うぞ?)と思った。まさかのスタイリッシュ路線。コメディ要素が0なのである。クールに夜の街を歩くコムアイ。とてもカッコいい。とにかく、全てが画になる。個人的には、コメディ系よりもこちらの路線の方の水カンにグッと惹かれた。歌詞も素敵。
「こんな孤島で うずくまったって世界が変わるかい 行くぞ同士よ 眼前にいるのが 皇帝だ、皇帝だ! Let's get back!」


③4月27日アップロード:「ディアブロ

今度はまたコメディ路線。が、前と同じものではなく確実に進化をしており、「新たな水カンの魅力」の出た作品になっている。個人的にはめちゃくちゃツボで、最初見たときは終始笑いっぱなしだった。シュールの極みって感じ。例えば歌詞。
「西日暮里改札口出て CoCo一番から徒歩3分 地下ダンジョン 16階まで降り 中ボス倒して店内へ スシロー ジャブロー プラモ狂四朗 五右衛門風呂からセパタクロー
「湯けむりサービスピンナップショット 堕天使達に大盛況 狭い洗い場で大欲情」
・・・。これ・・・コムアイが書いてなくて良かったわ・・・w 確実に、いい歳した大人の男(しかもオタク)がノリノリで書いた歌詞だもん。あと、「ららら」に字幕を入れちゃうチョイスとかね。

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センスを感じる…w


④6月19日アップロード:「シャクシャイン

北海道の地名と魅力で紡いだ秀逸な作品。一般的に、今年の水カンの代表作はこれとなってるようだ。これに関しては、さすがとしか言えない。「北海道について地名を交えた曲をつくろう」、そう思っただけでも凄いのに、こうして語呂もノリもいい作品が出来上がっちゃうんだもんなぁ。


⑤8月3日アップロード:「ユタ」

いやはや、水カンの表現の広さにはやはり驚く。これまたどエラいの作ったなぁ、と。約7分にも及ぶ超大作。
Web記事では、こう紹介されていた。
放送禁止、だってさ。当たり前っちゃぁ当たり前な感じもするが、凄いこと言われてるよね。でも、沢山ある楽曲のなかにこんなのも混ぜてくる、それもいいじゃん!あくまで、「自由のアイコン」です。


⑥10月7日アップロード:「西玉夫」

CASIOとのコラボ作品。「和」を表現しており、これまた秀逸。森、川、宝石・・・この美しい世界観は唯一無二なのではないか。


⑦10月16日アップロード:「メデューサ

前作からわずか1週間ほどでアップ。PARCOとのコラボ作品。またスタイリッシュ路線で、「ナポレオン」と被ったんじゃ?と思いきや、これまた新境地。サビの歌詞が「Shall we dance? Dancing all night」となっており、いったいこの曲のどこが「メデューサ」なのかのヒントが非常に見つけにくいのだが、答えはこれ。

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シャンデリア=「トリートメント エッセンシャル モイスチャー 潤え 神(髪)」でメデューサを表現しているのだ!なんと器用な表現!まさに天才の発想。
曲は今までのなかで最もカッコいいと個人的には思うし、映像もとても美しい。PARCOを貸しきって撮影っていうのも斬新。


⑧10月21日アップロード:「ラー」

ついにきた、とも言うべき日清との大型タイアップ。PVはまるで映画のようで、最初見たとき、(これはお金かけたなぁ・・・)と思った。お金のかかってるただの「万人受け」の作品か?そう思ったがやはり単純ではない。注目すべきは歌詞。
「正義正義正義と言っても ちっとも食えない こんな世の中は 3度のメシよりメシアに会いたい」
安心してください、水カン要素、ちゃんと入ってますよ(笑)。凄くないか!?これは。このセンスには脱帽。。あと、音も凄く心地いい。思わず体を揺らしたくなる。個人的に水カンの今年の代表作を一つ選ぶなら、これがいいと思う。だって、色んな歌手のPVがずらっと並んだときにこれがあったら、一際目を引くものであろうし、やっぱりカッコいいじゃん?・・・ということで、MVAノミネートに期待。


⑨11月9日アップロード:「小野妹子

これは驚いた。まさかの山田孝之とのコラボ。めちゃくちゃシュール!また物凄いPVができたな、と思った。だって、つけ髭をした男女が真顔で踊り狂ってるんですよ?で、その一人があの有名な山田孝之ではないか。この世界観、ホント センスあるよね。

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山田孝之の高速回転!!フロムJapan!!フロムJapan!!


⑩11月17日アップロード:「マッチ売りの少女」

ラストはこれ。なんじゃこりゃ・・・コムアイ、今までで一番可愛い!こんな素敵な映像撮ったの誰だろう??と思って見たら、まさかの、サカナクションやok go、星野源のPVを手掛ける、今やデザイナー界のトップに立つクリエイター・関和亮さんだった。さすがのクオリティであるが、映像はもちろん曲の内容も素晴らしい。タイトルから察するに、多分苦しさを全面に出した内容なんだろうな、と思ってしまうが、この作品は逆転の発想でできているのである。テーマは「マッチ売りの少女の苦悩」ではなく、「マッチ売りの少女から生まれた美しくも儚い妄想世界」なのだ。
全部イメージ、イメージ、ああ。
もう食べられない、食べられない。
なんと深いメッセージ性のある作品だろう。


と、まぁ、2015年に発表した楽曲は、ざっとこんな感じだった。もはや期待しかないよね、ここまでくると。来年の水カンはどこまでいくのだろうか。とりあえず、元旦に動画はアップしてくれるだろうか。ワクワクしながら待つとしよう。

ジパング

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