静穏の日々

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アルバムレビュー・桑田佳祐「がらくた」 〜 待望の新アルバム発表にして大名作の誕生!そしてついに辿り着いた、日本ポップスの新世界。【この男、最高のエンターテイナーにつき!】

ついに、キタ!!!!!!

桑田佳祐さん、ソロデビュー30周年の今年、前作『MUSICMAN』から6年半ぶりとなるニューアルバム『がらくた』をリリース。ついにされちゃいました。なんかもう、凄い瞬間に直面してしまっている…。

改まって言うまでもないが、桑田佳祐さんは僕にとって、最高のスターである。太陽である。光である。希望である。そんな桑田さんのアルバムを聴いて、元気をもらって、色々と考えさせられて、楽しくて、それこそが至上の幸福である僕の人生に、ついに”神の恵み”が再び舞い降りた。


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今作のアルバムタイトル『がらくた』は ”ありとあらゆる要素が無作為に交錯する現代社会の見立てであり、そんな無意味に積み上げられた『がらくた』の中にこそ、物事の本質や素晴らしさが宿る”というメッセージの元 付けられたそうで、前作『MUSICMAN』が リリース時期的にも非常に深く重要なテーマが沢山 込められていたのに対し、今回は本当にフリーダムで、これまで以上にカラフルで かつエキサイティングで、肩の力を抜いて楽しめそうな極上ポップアルバム、という印象で タイトルが発表された瞬間からもう興奮が冷めやらない状態であった。それもそのはず、ここ2年の間に桑田さんが挑戦してきた音楽のジャンルは特に色鮮やかで、まさに神の領域とも言うべきところまで羽を広げ続けてきてる最中であり、そんな活動の記録を全てまとめあげてしまうアルバムが出るなんて、と思うと、その事実だけで もはや目が回りそうなのだ。そんな凄いものが、もう既に出てしまって、手元にあるとは…。感無量。心して、有難く聴こうではないか。  

 

①過ぎ去りし日々 (ゴーイング・ダウン)

桑田さんの尊敬し続けるビートルズや60年代後半のロック要素がたくさん詰まった賑やかで楽しいオープニング曲で幕を開ける。歌詞には”その名も TOP OF THE POPS” なんてお馴染みのベストアルバムのタイトルが登場しちゃったり、”今では ONE OK ROCK”なんて人気バンドの名前も出ちゃったりと遊び心満載。小気味良く手拍子が入るあたりも桑田さんらしくて聴いてて楽しくて、”ついに新しいアルバムの新しい曲が聴けている。”  ”いま、始まるんだ。”という感動が沸々と心から湧き出る。

今作付属の書き下ろしエッセイ集「がらくたノート」にて桑田さんはこう語る。

だけど「ウタ」というのは良いよ。

…(略)…  とにかくゲスだろうがナンだろうが、バンバンやれるから。

でもそれが、今のアタシのウタでありイノチのアカシなんだ。

この曲は、桑田さんの人生(= 過ぎ去りし日々)、そして歌手としての”生業”が表れた曲なんだ、これはそんなアルバムなんだ、という風に感じられる。あぁもう、好きです。。

 

②若い広場

30周年メモリアルイヤー、事の始まりは 3月3日の昼頃 NHK新朝ドラ「ひよっこ」の主題歌として突如 発表されたこの曲からであった。本当に驚いたなぁ…。にわかには信じ難い、と思うくらい衝撃的であり、まさか1番好きな歌手が朝ドラ主題歌を担当するのがこんなにも早く実現してしまうなんて、個人的に音楽好きとしてもドラマ好きとしても究極に嬉しい出来事だった。

そんな楽曲「若い広場」はこの5ヵ月間、毎朝(※日曜を除く)テレビから流れ続け、曲を制作するにあたって”夢と希望に溢れた日本の未来に思いを馳せた”というメッセージの通り、日本中に元気を与えてくれた。だからこそ、今回 この曲がシングルCDとしてはリリースせずに 桑田さんがずっと音楽活動において重きを置いてきたアルバムという形態に満を持して収録されたその意義を、熱を、音楽愛を強く感じてしまう。桑田さん曰くこの曲は、”そんなつもりじゃなかったけれど、なぜか身にしむ歌謡曲”なのだそう。本当に、まったくその通りだと思う。さぁ、共に肩を組み、皆で歌おう。

 

大河の一滴

ご存じ 昨年のシングル「ヨシ子さん」に収録され UCCのCMソングとして放映されていた楽曲であり、歌番組でも印象的に歌われていたため(& モノマネ番組でもある芸能人が歌っていたため) ここ1年の間にもはやシングル以上の知名度にまで浸透していった名曲(と、ファンである自分は勝手に理解している)。であるため、この曲が3曲目という、ポップアルバムにおける黄金位置に収録されたことは非常に感慨深い。星野源の「YELLOW DANCER」で例えるならば、「SUN」と同じ黄金位置と言っても支障はないだろう

渋谷を舞台に暗く怪しげな ただならぬ恋の様子が描かれており、聴けば聴くほど独特の世界観にハマっていってしまう不思議な魔力がある。演奏は生音と打ち込み音の絶妙な融合がなされてて、疾走感に興奮を掻き立てられる。(今作のDVDに収録の)7月11日 開催のビルボードライブにて披露されたバージョンではさらに演奏の魅力や厚みがパワーアップしており、凄い可能性を秘めた曲なんだな、やっぱりこの曲凄いな、とここに来て改めて感じた。つまり、色々と深すぎて、魅力を完全に語り尽くすことなど出来ないというわけである。とりあえずもう、ラケル行かなきゃ。

 

④簪 / かんざし

6月24日 放送分のラジオ「桑田佳祐やさしい夜遊び」にて初解禁された楽曲。もう、初めて聴いた時から鳥肌と興奮が治まらなかった。和風×ジャズ=セクシーという、今までありそうでなかった化学反応が起きており、まさに”61歳 男 クワタ、シンガーとしての本気”を思いきりぶつけられた感じ。今の桑田さんにしか作り得なかったような独特の雰囲気があり、新しいようでどこか”80年代テイスト”な曲調であり、正真正銘、”新境地”というよりほかはない1曲にして、名曲だと思う。歌詞に着目してみると、「恋のゲームで終わらせて」とか「粋なジャズで踊らせて」とか「どうかロマンス逢いに来て」とか曲のタイトルとテーマは””なのに対して、聴き手に伝わる部分は演奏ともに””で表現されてるのがとても良い。サビで響くピアノの音の入り方も絶妙。随所随所に細かなこだわりが多く見られ、長い時間をかけて色々な可能性を探って制作されたことがよく分かる。こういうアツい曲が聴けるから、やっぱり桑田さんのアルバムって素晴らしいんだよなぁ。表面を撫でただけで”あぁ、これは凝ってる!”っていうのが伝わってくるけど、研究すればもっと深いところにもどんどん入っていけるタイプの曲というか、これからもっと、聴く度に新たな発見がある1曲だと思う。好き!

 

⑤愛のプレリュード

シングル「ヨシ子さん」に収録され 昨年度のJTB CMソングとして放映されていた楽曲であり、今回のアルバムの制作は2015年11月、この曲からスタートさせたという。ここまで長い時間をかけて 試行錯誤を重ねてアルバムを制作していくという桑田さんのこだわりっぷりには、前作の『MUSICMAN』同様いつもながら本当に驚かされる。

この曲は個人的に「ヨシ子さん」収録の4曲の中で一番お気に入りの曲だったため、非常に思い入れが深い。曲の中で描かれてる恋があまりにも切なくて爽やかでオトナで、とても胸を打たれる。桑田さんでここまでピュアな曲が聴けるのはかなり久しぶりな気がするし貴重な気がして、なおさら歌詞に注目して聴いてしまう。最後のサビに登場する歌詞 ”恋人未満の僕でいい 嗚呼 二人の絆は永遠に” は邦楽史に残る名フレーズだと思う。叶わぬ 誰にも言えない恋なんだ”とか”あの日 君が泣いたのは 誰か好きな人 他にいるからさ”の部分から片想いの恋の切なさがひしひしと伝わってくるが、それ以上に語り手が「それでも幸せだった。素敵な人生を生きているんだ」と割り切ったような気持ちでいる様子が歌詞だけでなく曲の雰囲気からも伝わってくるのがより一層 切ない。桑田さんにしか作り得ない、絶妙なラブソングだ。名曲。

 

⑥愛のささくれ〜Nobody loves me

WOWOWの2017年 TVCMソングとして今月 13日から放映中の最新曲。アルバムのブックレットの写真やアーティスト写真を撮影するにあたって深夜の東京を徘徊した体験が印象的だったらしく、そういうこともあってか今回 桑田さんの東京に対するイメージ= ディープ、オトナの恋、ドロドロ、怪しさ…が歌詞にも曲調にもいつも以上に色濃く表れていて、とても心に沁みる。こういう雰囲気やサウンドは90年代サザン(「亀が泳ぐ街」「マリワナ伯爵」等)を彷彿とさせて非常に胸熱である。というか、細かい理屈は抜きにして単純に、ギターの音もドラムの音もそして歌声も 聴いていて心地が良すぎる。少しラップ調になっている”体良く”(て・い・よ・く…) ”フラれて”(ふ・ら・れ・て…) ”愛のささくれ”(あいのさ・さ・く・れ…)ってところもめちゃくちゃカッコイイ。ビヨンセとかスティーヴィー・ワンダーとか海外のスターが歌詞にさりげなく登場するのも良い。

これはある意味、究極の”癒し”の音楽である。

 

⑦君への手紙

映画「金メダル男」の主題歌となった17thシングル。ここで感動がどっと溢れ出す。(エッセイにて綴られている制作時のウッチャンとの素敵なエピソードも実に涙を誘う)。

振り返れば昨年の桑田さんは本当に新曲タイアップ曲ラッシュで、味わい深い楽曲が同時に誕生しすぎて 聴き手的にはもうとにかく”感動の受容量 超えたぜよ!!”という感じだったが、いまこうしてこの曲がアルバムに収録されたのを受けて冷静に考えてみると、なんだこの名曲は?と。リリース時は”クールでスイートなロッカ・バラード”としてプロモーションされていたが、もうここまで来たら 聴けば聴くほどジャンルレスというか、”桑田佳祐史”という単位で考えても”邦楽史”という単位で考えても 何もかも超越した真骨頂に成り得ているというか、もはや”クワタ”というジャンルの音楽が誕生したとさえ思える名曲ぶり。メモリアルイヤーのアルバムの中心に位置する曲としては相応しすぎるくらいの1曲だと感じる。”キミとボクは 同じ空の青さに 魅せられながら 生きている”というフレーズにグッ…とやられるんよねぇ。

補足だが、今回収録されたこのアルバムバージョンは、シングル時に比べて 間奏部分の”エンヤートット”の掛け声が複数人になっており、クレジットに”401st オールスターズ  エンヤトット囃子”と表記されてるのが楽しい(笑)。

 

⑧サイテーのワル

カッコイイ バンド・サウンドとオートチューンを用いたボーカルで展開される 現代の情報社会を風刺した楽曲であり、個人的に、というか全体としてファン的にはおそらく”大好物”であるタイプの曲だと思うし、その言葉の巧みさ、キレのよさには もはや神々しさ、貫禄さえ感じさせる。その歌詞からは昨近の不倫報道や文春砲からSNSの話題まで まさに現代をしっかりと切り取って触れられているのがよく分かるし、”Tell me what you are”〜♪と”誰あなた?”〜♪と まさかの”ウィキペディア”〜♪で3つ語呂を合わせてるのが凄すぎる。こんなこと 絶対、 桑田さんにしか出来ないことだろう。

最後のサビに入る前の一時停止→プレイバックを3回繰り返す部分も本当に痺れる。本当に、”凄い!”としか言い様がない。

 

⑨百万本の赤い薔薇

シングル「ヨシ子さん」に収録された楽曲。フジテレビ系の情報番組「ユアタイム」のテーマソングになり、そしてゴールデンタイムの番組の途中で入る天気予報でも流れていたため、ファン以外の層にもかなり浸透していたと思われる。というか、初めて聴いた時から本当に この曲がシングル曲になるとしか思えず、今までカップリング曲として収められていたということが未だに理解しきれていない。それほどメジャーな路線の ど真ん中に存在するような 放っておけない名曲である(故に今回 重要なアルバム曲の1曲として収録されてくれたのは非常にグッジョブである)。 

今作付属のエッセイ集「がらくたノート」でも詳しく綴られている通りこの曲は 妻の原坊こと原由子さんがピアノ、ストリングス等のアレンジ(編曲)を手がけたのに加えBacking Vocalも担当しガッチリとアシストしており、全体的によりポップで温かみのある曲調となっている。いやー、桑田さんと原坊で作る こういう ”夫婦愛”を感じる曲って、本当に好きだな…♡(「夢をアリガトウ」とか!)。報道番組のテーマソングとしても(それは関係ないとしても)しっかりと”愛と平和なんてのは 遠い昔の夢か 強くあれと言う前に 己の弱さを知れ”と時代に沿った 心に残る重要なメッセージを告げた直後に、”おやすみする前 君は 決まって僕を見つめて 優しい微笑みくれる それが明日への力”という歌詞…もうこういうギャップがたまらん。””っていうのはやっぱり原坊のことなのだろうか。

明るくて前向きな気持ちになるようなサウンドにイントロからもう心をグッと掴まれるが、特に大サビ前の”寂しくて ひとりぼっちでも 恋の歌 口ずさみ歩けば”から入る大サビの怒涛の盛り上がりは圧巻。専門的なことはあまり分からないので詳しいことは書けないが、なんか、打楽器の音が強まってる気がする?。その最後の盛り上がりの部分は本当に、聴いててジワッと涙が出てきてしまう。

桑田さんのファンじゃない方にも まずオススメしたくなる1曲である。

 

⑩ほととぎす [杜鵑草]

一聴して驚いた。なかなか聴けないような、重厚なバラード。なんて美しい旋律なのだろう。桑田さんは最高のメロディーメイカーなのだ、ということを改めて強く思い知らせされる。星の瞬きより儚い人生(いのち)”…のところでまず鳥肌がサーッと立つし、”振り向かないで 未来へ  見つめ合った日は帰らず”と終わるあたりも切なくて苦しい。振り返れば『MUSICMAN』期の頃は「悲しみよこんにちは」とか「月光の聖者達」とか「愛しい人へ捧ぐ歌」とか 桑田さんが自身の人生や記憶を重ね合わせて静かに綴り 歌い上げるという歌があったが、近年は多彩で全体的に明るい歌が多かったので、なんだか久しく忘れていた感覚が呼び覚まされるような感動が押し寄せている気がする。色々と考えている間に、曲はすぐに終わり次の曲に飛んでしまう。だから、何度も聴き返す。一瞬 ”あれ?どうしたの桑田さん??”ってなるくらいの深さで 極端な話 ”死”さえ予感させる雰囲気があってドキドキしたが、よく考えれば(というかよく考えなくても)桑田さんは音楽活動において、何度も時代ごとに素晴らしいバラードを残してきていて、それこそ桑田さんの真骨頂なのだと思うと腑に落ちるが、それにしたって”ただならぬ名曲”という風に思わざるを得ない。

「がらくたノート」では桑田さんは

苦しいばっかりじゃ人間生きてられないから、我々はどこかで「悲しみ」に落とし前をつけ、「辛さ」と縁を切るために映画や音楽にすがりつき(宗教やドラッグってのもあるけど)、泣き喚いたり大声で歌いたくなるんだろう。

だいぶ回りくどかったけど、アタシがバラードをつくるモチベーションってのもこんな感じだ。

 と語っている。本当に 心から納得というか、とにかく、素敵な歌をありがとうございます、と言いたい。

 

⑪オアシスと果樹園

今年5月からJTBの新CMソングとして放映中の楽曲であり、「愛のプレリュード」に続くハワイうたシリーズ第2弾。ラジオ「桑田佳祐やさしい夜遊び」でもしっかりフルで繰り返しオンエアされてたため今作リリース前から既にファンにとっては馴染み深い印象を抱くモノとなっていた。一聴してサザンの「HOTEL PACIFIC」を彷彿とさせるような盛り上がりを見せる曲だなというイメージで、もう”こんな曲待ってました!!最高!!”と叫びたくなるくらいのロック!豪快!桑田節!!である。ロック、というかそれに歌謡曲 混じりというか、まさにいつもの感じ、これぞ桑田サウンド!という1曲。

そして今回はそれらの要素に加えて、歌詞も本当に、より一層 痺れるのだ。出だしがの歌詞が”遥か旅路へ国際航路は 上へ上へと雲を掻き分けて 光一閃 空に虹をかけた”………とかもうカッコよすぎる!無性に読み上げたい。とにかく歌いたい。サビの”どれほど悔やんだって 旅は続くのだろう”っていうところも本当に最高。最後のサビの”君が営()るカフェテラスは Far amay 星降る里”って桑田イズム全開な当て字もたまらなく良いし、”新しい朝が来る 旅は続くのだろう”って歌詞で終わるところは その一フレーズに桑田さんの生き様が表れているようで 素晴らしくて涙が出てきそうだ。もはやアートの域に達したと言える 桑田さんならではの言語世界をとことん味わい尽くせる良さに加えて、30周年の今年に相応しい”メモリアル感”も満載な仕上がり。聴いた分だけ愛が深まっていく、そんな一曲であろう。

 

⑫ヨシ子さん

昨年 WOWOW開局25周年CMソングとなった16thシングルであり、奇抜な歌唱パフォーマンス、歌詞、PV、プロモーション等が日本中の注目を集め話題となったものだが、アルバムに入ってもなお それは凄まじい存在感を放ち続けている。

今回このアルバムが発売されるにあたって刊行された雑誌「Pen (ペン) 2017年 9/1号 [1冊まるごと、桑田佳祐。]」にて語られていたキーボーディストの片山敦夫さん、プログラマー/マニピュレーターの「カワチョー」こと角谷仁宣さん、エンジニアの中山佳敬さんの話によると、「ヨシ子さん」は、開発段階である制作途中にスタジオで皆で何故かインドのミュージックビデオを見る機会があり それが面白かったという体験から曲制作のヒントを得ていたり、ノリで入れたヒンディー語のサンプリングが採用されたり、”フンガ”という声が角谷さんのアイデアだったりと、複数人で得た偶然の発想や体験から曲が生まれていったらしいから非常に興味深い。そう考えると そうして出来たこの「ヨシ子さん」という曲は 桑田さんと日々 活動を共にしてきたミュージシャン、クリエイターメンバー達との粋で濃厚な”軌跡の塊”であると思うし、これぞ本当に ”音”を”楽”しむ””音楽””というテーマがぎゅっと詰まった1曲だという風に感じる。

アルバムのプロモーションとして歌番組に出演しても未だに「ヨシ子さん」を歌い続けるのには、桑田さん自身そういった思い入れがあるからではないか、 そう受け取れざるを得ない。改めて、名曲だと思う。

 

⑬Yin Yang(イヤン)

ヒットドラマ「最高の離婚」の主題歌となった15thシングルであり、4年半の月日を経てついにアルバムに収録された。ドラマで流れていた 瑛太綾野剛尾野真千子真木よう子がエロティックに絡み合うシーンに合わせて桑田さんが歌う映像が入るというカオスなエンディングが未だに頭から離れず印象的な思い出として記憶に残っているものの、実はこの曲をCD音源としてちゃんと聴くのは個人的に今回が初めてであったため、非常に感慨深い (4人はPVにも出演)。

真夜中のR&B(リズム アンド ブルース)  孤独な胸に響くよ”という歌詞がまさにこの曲の世界観を表しており、哀愁が漂う かつ怪しげな曲調が高揚感を誘う。”Everyday,I’m so lonely”〜!!♪のところが本当にカッコイイ。なんて気持ちよさそうに歌うんだ!!と。和風な雰囲気を醸してるように見えて洋風なイメージもあるというか、なんとなくキャバレーのショウとか、スナックのカラオケとか、そういうディープな”夜のモノ”を連想させるのがとても良い。やっぱりこういうのこそ”嗚呼〜桑田さんだな〜!!”と思う。

 

⑭あなたの夢を見ています

昨年のシングル「君への手紙」に収録されていた楽曲。一聴した時点で”えぇ!!?この曲めちゃくちゃ良いじゃん!!!??”と感動し、シングルを購入する予定はなかったもののこの楽曲だけは配信でしっかりと購入し(ほぼ衝動買い) 繰り返し聴いていたため、既に思い入れは深い。「君への手紙」のリリース時期が11月であったことや曲の雰囲気、そしてラストに鈴の音が神々しくシャンシャンシャン…と響くことから、勝手に”クリスマスソング”、または”年末賛歌”という風に認識している。歌詞は失恋の様子が描かれてて暗めだが曲の方は底抜けに明るいという” これぞ桑田さんの真骨頂!!!!!”的作風が現れており、この、アルバムの最後から2番目という ラストの絶頂盛り上がり!という部分で余すことなく最大限に盛り上げてトメの曲へ繋いでいる。そういった意味ではやっぱり今作は 今までのアルバムとは圧倒的に違う明るい雰囲気を全面に纏ったポップアルバムだなぁと思うし、まさに記念年のアルバムに相応しい作品だなということをここでも強く感じるのである。

特に最後の大サビに入る前の間奏部分から大サビに入る流れは圧巻。このメロディに、ずっと酔いしれ続けていたい。

 

⑮春まだ遠く

なんと、倉本聰さん脚本で話題沸騰中のドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)にインスパイアされて制作された曲ということで、筆者も ちゃんとは見ていないがそれなりに注目している作品であるため、非常に興味深いし驚きである。現在「やすらぎの郷」でもドラマ音楽を手がけている お馴染み 管弦楽の名匠 島健(しま けん)さんが編曲を担当し、ドラマ内で描かれている”往年のスターたちが死を恐れながら悪あがきをして、いじましくもなにかに期待してしまう”姿に曲作りの新たなヒントを得たらしく、曲を聴いて感じられる味わい深さもひとしお。

一方 「がらくた」が発売されてすぐにTwitterで見かけた意見だが、(演奏や雰囲気が)”ディズニーっぽい”という表現にとても共感してしまった。明るくてファンタジックで美しい曲調、確かな新境地だと思うし、無限の可能性を感じるし、こういう曲で幕を閉じるのは なんだか、凄く粋である。これからの季節、秋から冬にかけてヘビーローテーション必至の1曲。胸が踊る。

 

…それで、 こうして全体を通して聴いて思ったのは、とにかく最高のアルバムだな!!ということである。ソロワークスの過去4作のオリジナルアルバムのどれよりもポップで明るくて、(前述した「百万本の赤い薔薇」の感想の部分でも書いた通り)ファンじゃない方にもまずオススメしたくなるアルバムが誕生してしまって、本当に良かったな…という喜びでいっぱいである。坂本龍一の「音楽図鑑」の如く、その歌手の作る素晴らしい音楽の全ての要素が余すことなく盛り込まれた (極端な話)”これさえ聴けば良し!!”みたいなショーケース的な作品になったと思うし、まさにデビュー30周年に相応しい記念碑的アルバムが誕生したということで、これはもう盛大に祝うしかないでしょう!VIVA!!

振り返れば今年、この 待望のアルバム発売の日が来るまでにも、本当に色々な発表・イベントがあり、ワクワクさせられてきた。前述した3月3日の”朝ドラ主題歌「若い広場」”発表、そして4月1日に投下されたエイプリルフールネタ「桑田さん ボーリング三昧の毎日」、からの次の日 4月2日のラジオ「桑田佳祐やさしい夜遊び」放送後に発表された”30ラウンドに渡る桑田佳祐の挑戦”(ここでボーリングネタの伏線回収 & 名キャッチコピー”けいすけのお楽しみはこれからだ” 爆誕)。それから5月5日に発表された”2017年 JTB新CMソングに「オアシスと果樹園」”、6月10日に発表された”初のビルボードライブ開催”のニュース、6月12日に発表された 衝撃の”映画「茅ヶ崎物語」公開”のニュース、6月17日 発表された”15年ぶりのROCK IN JAPAN FESTIVAL 出演”のニュース…そして6月25日・サザンオールスターズ デビューの日の朝、アルバム「がらくた」を発表 (& 名キャッチコピー”この男、どスケベにつき!”爆誕)、& 7月16日  三ツ矢サイダーのCMにてサザンオールスターズ サプライズ復活………1つ1つのイベントが本当に愛おしく、感慨深く、絶対に忘れることの出来ない大切な思い出だ。そんな思い出が次々と生まれている2017年。やっぱり桑田さんは、最高のエンターテイナーだなぁと改めて思う。本当に感謝しかない。いつも幸福と感動をありがとうございます!!一生ついて行きます、桑田さん!!…そう心の中で叫び続ける、夏の終わりなのであった。