アルバムレビュー・Mr.Children 「DISCOVERY」 〜ようやくミスチルに深くハマり始めた '18年秋の記録
このたび、いよいよミスチルに本腰入れてハマり始めた。ちょうど1年前頃、「シフクノオト」「I ♥ U」を聴いて”凄い良い!”となり様々な名曲たちにノックアウトされて 初めてミスチルの素晴らしさに気づき始めるということがあり、それから「IT'S A WONDERFUL WORLD」〜現在までの作品は全部 好きだな、惹かれるなと思ってちょくちょく感想を語ることはしてたのだけど、90年代ゾーンはまだ未知の世界という認識があって、そして今回、ようやくその面白さ、熱さに気づいて感想を書いてみたくなったので、ちょっとやってみようと思います。久々のアルバムレビュー。
Mr.Children「DISCOVERY」。1999年2月3日リリースの作品。活動休止期間を経て、満を持して世に放たれた今作は、コバタケさん曰く「これまでで最高のアルバムができた」らしく、こういう当時の発言とか見れるだけでもワクワク感が募ってたまらない。
まず惹かれるのが、当時流れてたアルバムプロモーションのCM。白黒の古めかしい質感の映像にメンバー4人が映し出され、鳥が羽ばたいていく……もうなんだろうね、この、好奇心がめちゃくちゃに掻き立てられる感じ。他のアルバムのCM YouTubeで見てても思うけど、ほんとミスチルのプロモCMって、”凄いの出るぞ!! 全国民 聴いてね!!”みたいな、大きな一大プロジェクト!的な熱さが凄くて本当に惹かれるんですよね。当時これをテレビで見てた全音楽ファンの皆様が心底羨ましい。
①DISCOVERY
そして、このアルバムの最初を飾るのが、CMでも一部が流れてた表題曲。
険しく歩みゆく ただ君の手を取って
真っ直ぐに DISCOVERY
というフレーズからも分かる通り、ひたすら荒野を踏みしめ、力強く歩いていく様が感じられるスタート。というか、歌詞を見なくても本当にそんな感じの情景が聴きながら脳裏に浮かんでて、音楽の表現力って凄いな、なんて思ってる。この音楽の旅には、一体どんな”発見”があるのだろうか。
②光の射す方へ
ここから半端じゃない中毒性の祭りが始まる。なんなんだこの曲は!? サザンの「さくら」を初めて聴いて”プログレって超楽しい!!”と心から感じた時の興奮が蘇ってきた。 ゴチャゴチャに情報量が多くて ひたすらちょっと気だるくてうんざりするような、Aメロ、Bメロで描かれる”主人公やその周囲の人物の日々”を経て、タカタカタカタン!からのサビで始まるあまりに独特で心地よくて 呆気にとられて 憂鬱な何もかもが吹っ飛ぶリズムよ。空振りしては骨折〜〜って〜リハビリしてんだっwow〜↑wow〜↑wow〜〜〜↑↑♪ってところが好きすぎる。最初 歌おうとしてもそのリズムが覚えられなくてアレ??ってなって、繰り返し聴いててようやく覚えた。もうほんと、夢見るあまり彷徨って大海原で漂ってさぶいぼ立てたいよね。
あと、当時 歌番組でこの曲を歌唱してる動画 見てたら、インパクト大な”すっぽんぽんにしちゃえば”〜♪ってところを思わず先走って”すっぽんぽんになって〜♪……?”と歌ってしまい照れまくる桜井さんが可愛かったです。はい。
③Prism
シングル「終わりなき旅」のカップリングから収録された楽曲。
どうしてなんだろう
何もかもが憂鬱
というフレーズが端的にそのままに示す通り、本当にネガティブにゆっくりと沈んでいく曲なんだけど、なんというか演奏やメロディがカッコよすぎて今のところ感情移入というよりは どうしてもワクワク感の方が勝ってしまっている。曲調がU2の「With or Without You」っぽいというか、洋ロックの要素も取り入れてる感じが乙だな〜。
あ、U2で思い出したけど、ジャケ写って、
「Joshua Tree」意識してたりするのかな…と思って調べたらどうやらあってるっぽい。(上の画像は「Joshua Tree」じゃないけど)
④アンダーシャツ
トゲトゲに風刺色が強く、スローテンポだけど激しさを感じる、それでいて間違いなく心地いい曲。一定したペースなのかな?と思いきや、3分過ぎからの間奏のギターの高揚感がハンパなく、結果的にもう社会がどうとかいうよりは、全部忘れてアゲアゲ⤴︎ ⤴︎である。抱いて触って歌って、魂よ癒えよ!!!!!
⑤ニシエヒガシエ
今回このアルバムを借りてくるきっかけとなった1曲。ある夜に 普段 Twitterでお世話になっている方がこの曲の歌詞をツイートされてるのを見て、その時とても悩みで満たされてた感情だったのもあり すっごく心を動かされて、曲を聴くよりも前にまず歌詞をググってちゃんと見たら、めちゃくちゃ良い曲かも!と思って。
特に好きなフレーズがここ。
片一方は天使 もう一方は悪魔で
分裂しそうなんだ 抗鬱剤をちょうだい
暗い未来を防ぐんだ
永い迷宮みたいな 青春だ
もう、なんだこの絶妙で秀逸な表現力は!?。本当にドン底を経験した人のみが創造し得る、”絶望”と”希望”の世界観なんだ!と妙に納得し、かつ沁みましてね。余計に目から鱗が落ちたと。
で、どんなに優しく包み込んでくれる歌なんだろう?と思ってライブ映像 調べたら、なんとデジタル感を感じさせるゴリゴリにハードなロックじゃありませんか。良い意味で予想が外れて、これまたギャップにヤられて。
で、タイアップ調べたら、ネットで”名作と思ったドラマは?”と訊かれれば必ず名が挙がる あの「きらきらひかる」の主題歌なんですってね。もう気になる要素ありすぎよ。一体どんな風にこの曲が流れてたん。いつか絶対このドラマ観たいと思う。もろに熱いミスチルとその歴史が感じられる良い名曲だな〜。
あと 終わり方カッコよすぎ。デレレレデレレデレレレデレレ ブツッ (完)……ォォォォォォォ!!(興奮)みたいな。”ラストがブツ切りされる曲=神曲”理論を提唱したい。
⑥Simple
ギターとコーラス等 少ない楽器の音が優しさを表現する、静かで優しいラブソング。タイトル通りシンプルで真っ直ぐに沁みるような曲調は、近年の作風に近いものがあるかも?
マイナス思考で悩みまくった結果
この命さえも無意味だと思う日があるけど
”考え過ぎね”って君が笑うと
もう10代の様な無邪気さがふっと戻んだ
こんな風に思える人と出会えたら幸せだよね。
本当に。
⑦I'll be
この曲めっちゃくちゃ良い曲ね!! 9分超って再生時間に最初はビックリしてたけど、実際 好きになってみたら なんら違和感を感じない。もしかしたら シングルカットされてるバージョンよりもこっちの方が好みかなと思うし、まさにこのアルバムを聴く上での醍醐味となってる楽曲な気がする。ほんと聴いてて 泣けてきてしょうがない。
生きてる証を 時代に打ち付けろ
腑甲斐無い自分に 銃口を突き付けろ
コンプレックスさえもいわばモチベーション
人生はフリースタイル 孤独でも忍耐
不安や迷いと無二の親友になればいい
もう全部が人生の座右の銘にしたい名言の集合体。そして、
貧弱な魂で 悪あがきしながら
何度へましたっていいさ
起死回生で毎日がレボリューション
なんてポップな歌詞も慎ましく静かに歌い上げる桜井さんの表現力に脱帽。
これ聴いてて思い出したのだけど、高校時代 ミスチルの大ファンだった担任の先生がよくテスト前に”悪あがきして下さいね〜”とか言ってて、その度に「なんですか悪あがきって」なんてツッコまれてたけど、もしかしてこの曲を意識して言ってたのかなって思うとなんだかグッとくるというか。3年越しに1つ謎が解けた気分。
⑧#2601
「I'll be」から一転、ふっと肩の力を抜いて酔いしれられるようなカッコいいロックサウンド。声がくぐもった感じに加工されてて、歌い方も独特なので、あまり何言ってるか分からない。が、何言ってるか分からない感じがむしろド級のカッコよさ。
タイトルもどういう意味で付けられたかよく分からないんだけど、”意味なんて無くたって素敵。日常を忘れてみないか ”。なんて言われたら、もうね//
⑨ラララ
変わり映えしない日常生活の中を生き、日々を歩いていて、色々な事を頭の中でモヤモヤと考えてしまう様がリアルに表された、聴き手にそっと寄り添ってくれる、そんな曲。
ニュースを見ていて
明日を生きる子供に何をあたえりゃいい?
僕に出来るだろうか?
なんて思ってしまうこともあるけれど、
しまいには、
一人じゃない喜び
なにはなくとも それで良しとしようか
と、結論づけられたりもする。リアル。
”そんなラララ探してく”ってなんか聞いたことあるな〜と思ったら、これもTwitterでいつもお世話になってる方が呟かれていたものだった。良いフレーズですよね。
⑩終わりなき旅
いよいよ終盤の盛り上がり。タイトルくらいは聞いたことあるほど有名な曲だけど、ちゃんと聴くのは初めてだったな。歌詞の良さはもちろんだけど、メロディがとても美しい。
このアルバムを聴き始める時に思った、”どんな発見が待ってるんだろう?”の答えは、この曲と共に歩んでいく人生の中で見つけていくものなんだな、と。
果てしなく模索し続ける人生の旅。with Mr.Children。ミスチルが長きに渡って多くの人に支持される理由は、こういう名曲に隠されているのかもしれない。
⑪Image
ラストの曲。図書館でCDを借りた際 この曲だけデータが破損して聴き辛かったので、慌ててGoogle play music で買ってきて聴いた。
旅に疲れた時に辿り着いた”安住の地”って感じだね。静かに深呼吸をし、音の中に沈んでいく。
ストリングスの演奏で一気に盛り上がる
飛び込み台の上 僕等は否応無く
背中を押され落ちてくんだ
溺れそうな魂 水しぶきをあげて
息絶え絶え 水面をかく
けれど
の部分はきっと辛かったことを回想しているシーンなのだろうけど、呼吸を整えて、
楽しく生きて行くImageを
膨らまして暮らそうよ
この目に写る全てのことを抱きしめながら...
そう言って、また静かに歩き出す。
本当 ミスチルって、こうして好きになる前はもっと アートに特化してて 抽象的な表現が特徴的な音楽、とか勝手にイメージしてたんだけど、全然違った。どんな音楽よりも心に深く寄り添ってくれて、真っ直ぐで、愛に溢れてる。それこそがミスチルなんだなって分かって。好きになれて良かったな、と心から思ったのでした。
さて。来月3日、いよいよ3年ぶりのニューアルバム「重力と呼吸」がリリースされますね。本腰入れてハマり始めてるこのタイミングでこんな記念すべき瞬間に直面できるなんて、幸せが深すぎる。どういう質感の作品だろうと、きっと心を凄く動かされるものに違いない。楽しみ。