静穏の日々

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アルバムレビュー・NICO Touches the Walls「勇気も愛もないなんて」〜心をグッと掴まれる珠玉のロック名盤!

このアルバムを最初に聴いてから2ヶ月くらい経ちますが、だいぶ聴きながら考えることが多くなってきたので感想をかいてみました。 f:id:fuurintakino:20160609201435j:plain
①「フィロローグ」
アルバムの最初を飾るのはこの曲。「フィロローグ」ってどういう意味なのだろう?と思って調べてみたけど、この曲のタイトル以外に結果が見つからないので恐らく造語だと思われる。意味的には「プロローグ」のようなものを指してるのだろうかと考えるが、歌詞から読み取るに、この曲は歌をつくることに対して思うことや不安、葛藤などを、少しも取り繕わずに正直な気持ちをまるごと詰め込んだものだと分かる。つまり、ただのオープニング的な曲かな?と思って聴いてると、その内容の濃さに度肝を抜かれる訳だ。「プロローグ」の、もっとそれ以上の意味を含んだ深いタイトル、とここでは解釈しておこう。スローで少し不思議なリズムに誘われ、一気にこのアルバムだけの世界観に引き込まれる。
そしてこの歌詞。
「楽しいから歌ってるのかな
歌ってるから楽しいのかな
君がいるから僕は歌うのかな
僕が歌うから君がいるのかな」
ジャケットやCDのデザインを見て分かる通り、このアルバムのメインシンボルは「ニワトリ」である。この歌詞は、哲学として考えるときに必ず登場するテーマ「ニワトリが先か卵が先か」と掛け合わせており、それがアルバム全体のテーマ「僕らは勇気と愛を持って曲を作ってるのか。それとも曲から勇気と愛をもらってるのか。」、ということに繋がってくるそうだ。この細かい部分にコンセプチュアルな要素を混ぜてアルバム全体を引き立たたせるという...そのセンスに脱帽。

②「天地ガエシ(Album Mix)」
大ヒットアニメ「ハイキュー!!」のエンディングテーマとなった人気ナンバー。この曲を2曲目という位置にもってきたという、その事実だけでアルバムのなかの強力なスパイスになってるし、「俺らがNICO Touches the Wallsだ!!」というバンド全力のパワーがここで爆発しているようだ。後半のギターソロは何度聴いても圧巻。
「どんだけ魂燃やして命焦がしても
どこが変わってんだよってツバ吐かれたろ
必殺【鬼の隠し拳:天地ガエシ】で
そっくりそのまま返してやれ
僕らのリベンジ」

③「まっすぐなうた(Album Mix)」
この曲はシングル曲であるにも関わらず今まで聴けていなかったので、とても新鮮な気持ちで聴けた。詳しいことはよく分からないが、アルバムに収録されてこそ輝く、「アルバム映え」をする曲だと思う。(さらに言うと、「ライブ映え」する曲でもあると推測する)。出だしの歌詞は、「間違ってた なんか全部間違ってた」。日本の音楽のどこを探してもないくらい珍しい出だしだと思うし(というのは少し大袈裟かもしれないが)、とにかく説得力がある。最後のサビで一瞬演奏が消えるところで曲の重みが伝わってくる。
「ただ笑っていたい 変わってみたい
まっすぐなうた歌うために
ふりだしに戻るのだ 君に光を射すために」

④「エーキューライセンス」
アルバムが発売される前にライブで初披露され人気を博した曲ということで、すでに音源化される前から「ライブナンバー」という部類に振り分けられていたという珍しい一曲。このアルバムではリード曲としての役割を果たしており、11曲のなかでも今回一番の聴きどころであると思う。タイトルは、「リスナーにとっての“A級”であり、“永久”に愛されるバンドでい続けたい」という気持ちが込められているそうで、前からこのバンドを応援していた人もそうでない人もグッ..とくる胸熱なキラーチューン。テレビでは、音楽アプリ「KKBOX」のCMソングとしてオンエアされており、偶然聴けるとめちゃくちゃ気分が上がる。「口ずさんだハイウェイスター」という歌詞はDeep Purple「Highway Star」をオマージュしたフレーズだそう。拘りが深い。
「眠れない君をのせて
夜明けを捕まえたい
ひたすら速度あげて
僕は君のハイウェイスター」

⑤「ブギウギルティ」
デートに遅刻した男が彼女に弁解をするという、メンバーの実体験に基づいた歌。個人的にはこういうストーリー性のある、聴きながら数分の間に笑ったり驚いたりして考えたりできるタイプの曲が大好きで、好み一直線!ど真ん中!って感じ。このアルバムのなかでは一番リピートしまくっている曲です。1番と2番とでの「今日はハッピーマンデー」「一気にブルーマンデー」の対比とか、「顔が真っ赤っか」「荷物パッパッパ」「寝癖ちゃっちゃっちゃ」の歌詞のリズム感とか、ジャズっぽい演奏や歌い方とか、もう、全てが最高。歌いたくなる。
「そんな簡単じゃん? そりゃないぜ
もはや全身全霊 変身願望
おクスリなんてないかしら
理想のあの子はフェイドアウト
こうやって歌にして忘れて
風呂入って早く寝よう」

⑥「ローハイド(Album Mix)」
11曲のなかで中心となる位置に収録されているのがこの曲。2年前にリリースされたベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」からのシングルカットとしてリリースされていた曲で、「これ若干マンネリ感があるんじゃないか?」と少し思いつつ聴いたが、全然そんなことはなかった。というよりむしろ良い意味で期待を裏切られたというか、このアルバムの収録曲として役割で、この上なくフィットしているのである。歌詞にある「駆け抜けろ この荒野」のイメージの通り、「勇気も愛もないなんて」というアルバムの音の「荒野」を全力で駆け抜けている...という様子が思い描ける。それがアルバム全体としての接着剤的な役割になってるというか、これが真ん中に収録されていることで作品としての厚みが増していると思う。これを聴いてると鳥肌が止まらないし、走り出したいような気持ちになる。専門的なことは言えないけど、きっとギターのコード進行が魅力的なのだろう。名曲。
「駆け抜けろ この荒野
独裁者 俺を解き放てばいいさ
準備オーライ? 準備オーライ?
ろくでもない やんちゃな夢 追いかけたい」

⑦「ウソツキ」
後半戦。ここで落ち着いた曲調に戻り、しっかり自分と向き合う時間をつくる、という曲。これもまた絶妙だ。11曲のなかでどれとも被ることのないジャンルであるこの曲が収録されているということはとても重要であり、いかにこのアルバムが作り込まれているかがよく分かる。
「慣れない手つきでそっと頭を撫でては
愛を乞う君に素直になれなくて
気づいたら 気づいたら
やるせない孤独に泣けてる」
ひたすら切ない。だがそこも良い。

⑧「TOKYO Dreamer(Album Mix)」
ボーカルの光村が少年時代に作り、 度々ライブでも披露していたという名曲(Wikipedia参照)。個人的には「PVが大好きでどうしてもミュージックビデオアワードで評価されてほしくて だけどその年は くるりの「Liberty&Gravity」のPVがスゴすぎるから位置的には別の賞に選ばれてほしい!!お願い!! なんて願いまくってたら監督賞で評価されてて 良かった~嬉しい!!とか一人でめちゃくちゃ盛り上がってた」なんていう経緯がありw、思い入れが一段と強い曲。PVを繰り返し見るうちに曲自体も好きになったが、このアルバムに収録されているのはシングルバージョンとはかなり異なるアレンジが施されており、驚いた。シングルバージョンが「陽」と表すなら、このMixは「陰」のイメージであろう。あくまで「アルバムのなかの曲」として存在が溶け込んでいる。これぞ「Album Mix」というテーマでの正しい使用例というか、誠実さが伝わってくる。「夜空照らした 始まりの稲妻」というフレーズは、狂おしいくらいに好き。曲の全体的なイメージとしては、いつか作家の宮部みゆき先生が書いていた「暗い助走」という言葉が合っていると思う。もちろん良い意味で。
「東京の夢は32連のスペアナ
孤高の戦いは いずれこの夢を叶えるんだ
必ずこの夢を叶えるんだ」
(※スペアナ、とは音の周波数を表したグラフのことだそうで、そのグラフと東京のビルの景色が似ている、という意味での歌詞らしい。こちらの方のブログ参照...→http://s.ameblo.jp/nico-music-25/entry-11911366447.html )

⑨「渦と渦(Album Mix)」
昨年リリースされた、アニメ「アルスラーン戦記」第2クールのオープニングテーマとなった人気ナンバー。リアルタイムで出会うことがなかった為に、「2015年のうちに聴いておけばよかったー!!」という後悔と衝撃が物凄い。彼らの楽曲のなかでもこれは集大成のような曲だと思うし、バンドとしてのロック魂がギューッとここに詰まってる。めちゃくちゃカッコいい。もっともっと聴き込んで音を研究したい。
「いま走れ 走れ 旋風になって
劣等 絶望 一切吹き飛ばしていく
追いかけなきゃ 最後の扉
何度散ったって 大逆転
この声が嗄れたって 祈りの歌届けたいよ」

⑩「ニワカ雨ニモ負ケズ(Album Mix)」
アニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」第13期オープニングテーマとなったヒットナンバー。この曲がここに収録されるのはかなり「訳あり」かもしれない。シングルとしてのリリースは、前述したベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」のリリースよりももっと前であり、そしてそのベストにも収録されている楽曲であり、すべてCDを聴いてるファンとしては「何故これを今?」と思ったかもしれない...(推測)。が、これも「ローハイド」などのシングル曲同様にこのアルバムとしての役割にフィットしているのである。まず、基本的にアルバムの最後から二番目の曲というのはとても重要であり、締めくくりに入る前のラストスパートを爆走させるポイントであるが、その役割を見事に果たしているというか、冷静に考えるまでもなく興奮と感動をそのままでアルバムの最後まで誘ってくれている、そんな楽曲だ。個人的に好きな部分は、後半の間奏で雨音が入るところ。サーッと心が清められる感じがする。
「君とじゃなくちゃ
未来は渇いてしまうのかも
急げ きっと今を笑って行く」

⑪「勇気も愛もないなんて」
そして最後の最後に表題曲の登場。これがアルバムの最大のテーマであるのだが、、なかなか難しいことは確かだ。(実際、メンバーもこの曲を「咀嚼しきれてない」とのこと)。まず、「ないなんて」の後には何が続くのだろうか。「勿体ない」だろうか。「どうでもいい」でだろうか。謎を残しつつ、アルバムが終わっていく。「勇気も愛もないなんて」とはなんだったのか?それを考えるのは、アナタ次第!みたいな感じで。哲学的というか、全部引っくるめて言うと、とても面白い終わり方だし、NICOってホント巧みなことやってるなーと感心してしまう。
「もう行かなきゃなんて言わないで
また傷つけてしまうのかな
いつか夜空に虹を架けるような
そんな愛の歌を 僕らだけの歌を」


今回このアルバムのレビューを書くに至ったのはとてもこれを聴いて感動したからというのはもちろんだけど、ネットを見てると、ちゃんとした全曲レビューなんてものは全然なくて(というかNICO Touches the Walls自体 感想を書いてる人が少なくて)、非常に勿体ないないなと思ったのでこういうレビューを書いてみました。...なんて偉そうに語ってみたけど、実は「過去のアルバムは何年か前にちょくちょく借りてたけどデータがどっかいっちゃってしばらく聴いてなかった、探せばあったかもしれないけど」とかその程度の興味で収まってた、というのが現状。だけど、こんな完成度の高いアルバムを聴いてしまってはもう応援せずにはいられない。映画「ヒーローマニア-生活-」の主題歌としてリリースされている楽曲「ストラト」も絶好調である彼らの勢いは、もう止めることはできない、と思う。
断言しておく。2016年のNICO Touches the Wallsは凄いぞ!

勇気も愛もないなんて(初回生産限定盤)(DVD付)

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