静穏の日々

好きな音楽、テレビなどの趣味を気ままに。

アルバムレビュー・スピッツ「さざなみCD」 〜爽やかで愛しくてたまらない、素敵な1枚のCDとの出会い。【祝・発売10周年!& デビュー30周年!!】

このたび、スピッツにハマった。

昨年 アルバム「醒めない」を聴いて大いに感動し、辛い受験勉強期間の中 最もお世話になった音楽は「醒めない」である!と永遠に宣言し続けられるほどハマったが、スピッツへの興味はなんとなく それ1作に収まっていたので、今年度に入ってから Twitterで日々 仲良くさせて頂いているフォロワーさん方のスピッツ愛・スピッツ論をほぼ毎日 目にしているうちに僕も好きになり、アルバム「とげまる」「小さな生き物」と改めて聴いて次々にスピッツの魅力に気づき、ではアルバム全制覇していこう!、ということで 非常に楽しい音楽生活が思いがけず始まって どこか充実した日々を送っている今日この頃であるが、世が現在 スピッツ・デビュー30周年でメディアでも大々的に取り上げられており 来週には新曲3曲も収録された シングルコンプリートベストもリリースするという 大きな盛り上がりを見せている真っ只中!グッドタイミングで 偶然こんなにもスピッツにハマってしまうなんて、なんだかとっても音楽ファン冥利に尽きる。恐らくこれは、僕の音楽遍歴の中でも一生忘れないであろう、最も大きなブームの渦中にいるのではないだろうか。

それで、今回 最もハマり度が高く 是非とも語ってみたい!と感じた1作に「さざなみCD」を選んだ、ということで 1曲1曲語っていこうと思うが、自分はまだ知識量とか少なくて 結構 個人的な感想メインになると思うので、そこはどうかご了承の程を。


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①僕のギター

スピッツのアルバムのオープニングを飾る曲はいつも 思わずグッときて心を掴まれて「よし!聴くぞー!!楽しみだ!!」となるような名曲揃いの良ポジションであるが、そんな中でもこの曲は スピッツ アルバムオープニング曲史上 最高傑作!と言えるほど、非常に重要な役割を果たしてると思う。草野さん曰く 「雨の中のストリートシンガーのイメージの曲」ということで、シンプルでストレートな音楽愛が真っ直ぐに伝わってくる。心にスーッと染み渡るような歌声からの、サビの盛り上がりは本当に素晴らしい。メロを聴いてるだけで自然に泣けてくる。透き通ったギターの音色はどこか、「醒めない」収録の「みなと」を彷彿とさせる。この曲、朝イチで聴くと本っ当に元気が出る。家を出発して駅までの道を歩きながら聴いてて、この曲のおかげで、「今日も1日頑張ろう!!」って思える。「さざなみCD」のおかげで、1日が始まる。

新しい地球の音を味方につけた」というフレーズがめちゃくちゃ好き。ギターを弾いてる人には特に共感できる歌詞なのだろうか。自分もギター弾けるようになりたいな〜。……そんな風に思わせてくれる。音楽のパワーを感じる1曲だ。

 

②桃

初聴き1回目でやられた。思っいきりハートを撃ち抜かれた。なんという名曲。これがシングル曲でもなければタイアップもついていないなんて、にわかには信じ難い。

静かなギターの音が聴こえて、その後すぐにストリングスが入るという始まり。開始数秒でもうワクワク感が凄い。Aメロの部分も思わず口ずさんでしまいたくなるような、とても親しみの湧くメロディーライン。「何も無かったよ 巡り会えた理由など」…のところでキラキラした音が響いてるのが好き。サビも間奏も神メロで圧倒的盛り上がりを魅せて、3分56秒 全てがクライマックス。「他人が見ればきっと笑いとばすような  よれよれの幸せを追いかけて」というフレーズに、一途な、真っ直ぐな、爽やかな恋の感情が秘められてる気がして、胸に迫って、とってもグッとくる。そして、曲が終わりに近づくにつれてストリングスの迫力が次第に増していってるのが更に心を掴まれる。ラストでエコーのかかったギターの音色だけが残る部分、狂おしいほど好き。最後の最後まで1秒も余すことなく、全てが完璧な曲だな〜!と聴いてて感動する。

映画関係者の皆様、是非こちらの曲を何か恋愛映画の主題歌に起用されてみてはいかがでしょうか。ヒット間違いなしですよ。……なんて思う。笑

 

③群青

33rdシングルとなった楽曲。シンプルでとっても良い。終始 草野さんの歌声に合わせてハモリ声が聴こえてるのが印象的で、誰が歌ってるんだろう?って思って調べたら、なんと、あの有名なスキマスイッチ大橋卓弥さんと女性シンガーソングライターの植村花菜さんではないか! めっちゃ豪華。というか、スピッツってそういう面白い試みもしてるバンドなんだなって新たな魅力が伝わってきて、なんだか特別なこだわりを感じる1曲だ。 サビの部分で鉄琴の音が合わせて鳴ってるのが楽しい。シングル曲としてこういう曲を制作してアルバムに収録するって、ほんとスピッツはセンスのあることをするなぁ…と感じる。

歌の中の主人公が海を見ながら、「僕はここにいる それだけで奇跡」「優しかった時の心取り戻せ 嘘つきと呼ばれていいから」と、何か酷く辛いことがあったその事後であり、今はもう立ち直って”何も恐れないぞ”と、未来へ向かって前向きに歩いていこうと決意する姿が描かれているが、それが本当に眩しくて、聴いてる僕も「ああ、人生頑張ろう。(泣)」って思える。というか、少ないフレーズの1つ1つにここまでのストーリー性を持たせるって、やっぱり草野さん素晴らしすぎる。

 

④Na・de・Na・de ボーイ

ここまでの流れから一転、パーン!と華やかに弾けるかの如く明るくて楽しいラブソング。まず、タイトルのインパクトが凄まじい。「彼女は野生の手で僕をなでてくれたんで  ごちゃまぜだった情念が一本化されそうだ」と、好きな女性に撫でられた喜びを歌っているから、”Na・de・Na・de ボーイ”。なんて楽しい歌なんだろう…!!

彼女は人間の声で僕の名前を呼んだんで  汚れまくったフィルターも全交換されたようだ」ってフレーズはもう意味が分からないくらい好き。こういう曲こそスピッツの真骨頂!って感じだ。「イッキ飲みエスプレッソ  HP増えていってんぞ」とか もはやラップじゃないですか。実際にエスプレッソをイッキ飲みしながらこの曲聴きたい。

あと、「今なら言えるアラッソ」(= 韓国語で「OK!!👍」的な意味)とか 語呂の良さ重視でなんでもアリか!って感じの歌詞をさりげなくスッと入れてくるところも大好き。アラッソ!って日常会話で使ってみたい。もし使ってる人を見かけたら、スピッツクラスタの可能性あるかも?

 

⑤ルキンフォー

トヨタ自動車のミニバン「アイシス」のCMソングに起用された32ndシングル。タイトルの「ルキンフォー」は=「Looking for」(探すこと)という言葉に由来し、その名の通り 未来への道を探りながら歩いていくというテーマの楽曲となっている。スピッツの曲で ここまでシンプルで、回り道していないというか、真っ直ぐな応援歌はこれが唯一なのではないだろうか。サビの「ルキンフォー  どこまでもつづくデコボコの道をずっと歩いていこう」という歌詞と、PVのラストでメンバーが地平線の虹に向かって歩いていく姿が印象的。聴いてて本当に元気が出てくる。老若男女 どんな人にも、そしてどんな国の人にも聴かれるべき1曲だと思うし、「ルキンフォー」という言葉が 世界の平和を結ぶ共通言語になってほしいなぁと思う。

 

⑥不思議

2013年 短編アニメーション映画「陽なたのアオシグレ」に起用された楽曲。「さざなみCD」というアルバム名に最もマッチしてるような1曲であり、開始早々 夏の渚を連想させるような爽やかなギターの音にキュン💕とくる。”恋のフシギ”を唄った歌でタイトルが「不思議」って、凄く秀逸。そして 2分48秒頃の間奏部分の演奏で鳴ってる楽器の音がとってもキュート。後半では恋の感情が絶妙に表現されたサウンドが最高潮に増し、それが響き合いながら段々とフェードアウトしていくラストはもう天才としか言いようがない。今夏 海に行ったら、絶対この曲聴きたいな!!…なんて思ってます。笑  踊り出したくなるくらいに躍動的パワーを秘めた1曲。

 

⑦点と点

こういう種類の曲もまたスピッツの大きな魅力の1つで、歌詞を聴いててもすぐには言わんとしてることは伝わってこない 様々な解釈の出来る意味ありげな、クールなロックナンバー。「まっすぐに君を見る ナナメの風ん中 どうでもいいことなんてなくなる  昨日の朝めしも思いだせそうだし 一緒に行こうよ」という歌詞は なんとなく ”人生 恐れずに行こうぜ”的なことを言おうとしてるように見えるが、その後の「平気なフリしてても震えてる」という歌詞を見るとやはり単純ではなくて、迷いとか、不安とか、挫折とか、様々な意味が曲のテーマとして盛り込まれてる気がしてならない。(そもそも「点と点」というタイトルはどういう意味なのだろう?)。「群青」や「ルキンフォー」とは全く対になる世界観だ。こういう曲がアルバムの中に入ってるのは非常に良い。前の曲とは異なったカラーを打ち出してる曲が突然 登場するって、そういう出会いこそアルバムを聴く醍醐味だと思う。

 

⑧P

アルバムのほぼ中間地点に位置するこの曲、思わずグッときて鳥肌がたつような、そして思わずウルッとくるような 静かな1曲であり、筆者的には最も大好物な種類の曲でもある。 イントロから響いてるキーボードっぽい音の正体は、「ローズ・ピアノ」という名前の楽器の音らしい。今までにも1度は聴いたことがあった音であるはずなんだけど、詳しい名前なんてものは今回初めて知った。とても心地の良い音で、大好きだ。そんな音に乗せて、草野さんの透き通るような歌声が響き、それから様々な打楽器の音が、暗闇から光る蛍のように次々と姿を現す。永遠に聴いていたいような、愛おしい音楽だ。


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(↑こちらがローズ・ピアノの画像。1940年代、ハロルド・ローズ[Harold Rhodes]という方が「前線の兵士たちを慰安する(音楽療法)目的で」発明したことから その名がつけられたのだそう)。

 

先ほど「僕のギター」の感想で「家を出発する時に再生し始める」と書いたが、そこからノンストップで「さざなみCD」を聴いていると、この「P」はちょうどいつもタイミング的に、人混みを抜けた 静かな乗り換えの駅で電車を待ちながら聴くことになる。そこでいつも本当に心が洗われるというか、スーッと染み渡って、泣けてきて、あぁ、いいな…となるのである。そういう瞬間があってこそ、音楽を聴く楽しみがあると言える。

ピー音で隠した 今じゃ当たりまえの 古いコトバ 道を転がる」という歌詞から分かる通り、タイトルの「P」は何かを伏せるような意味での1文字で、心の奥底にいつまでも存在する 切なくて一途な恋の記憶というものがリアルに伝わってくる、そんなラブソング。「こんなして 再び会えたから  笑おうとしたけれど 何でだろ?  知らぬ間に戻される 恥ずかしき炎」という歌詞が哀しい。きっと、目の前にいるその女性とは結ばれなかった運命なのだろう。久しぶりに会えたけど、全然喜べなくて、複雑な想いがあるのだ。「ピー」で隠された「古いコトバ」とは、なんだろう。「愛してる」なのだろうか。「好きだ」、なのだろうか。そんな伏線を残したまま、次の楽曲 「魔法のコトバ」へと繋がっていく。

 

⑨魔法のコトバ

そしてアルバムは後半戦へ!優しく穏やかな、それでいてダイナミックなストリングスのイントロから幕を開ける、映画「ハチミツとクローバー」の主題歌に起用された、大ヒット 31stシングルだ。で、先ほど述べた「P」からの伏線だが、こんな風に繋がる。

魔法のコトバ 二人だけにはわかる
夢見るとか そんな暇もないこの頃
思い出して おかしくてうれしくて
また会えるよ 約束しなくても” 

そう。哀しみで埋もれてたはずの恋の記憶は今ようやく 2人、時を越えて愛おしい記憶へと昇華させることが出来、(スピッツ的に言うと)新しい生き物へと生まれ変わることが出来たのである。

まぁ、あくまでも これは僕 独自の解釈なので、これがこの曲の真実だ!とはもちろん断定は出来ないし もっと色々 意味はあると思うけど、「群青」の感想でも書いた通り、こうして1つ1つのフレーズから大きなストーリー性を生み出す歌詞を書く草野さんって、やっぱり天才だなぁと改めて感心してしまう。

そして、「花は美しく トゲも美しく 根っこも美しいはずさ」というフレーズから始まる間奏部分は特に好きで、ワクワクする。曲に込められた意味を考えずとも、この明るくて、優しい曲調には本当に感動するし、この曲の持つパワーはハンパじゃないものな訳で、名曲として名高いのも頷ける。

(余談だが、この「魔法のコトバ」が主題歌となった映画「ハチミツとクローバー」には、”エンディング・テーマ”と言われる 実質的にもう1つの”主題歌”である曲、スガシカオが作詞 作曲した 嵐の「アオゾラペダル」も存在する。僕はまだこの映画を観ていないので どう流れたのかよく分かっていないが、「アオゾラペダル」も もちろん改まって言わずとも本当に素晴らしい名曲だし、この大名曲2曲が流れる映画とかどんだけ豪華なんだよ!!!?って話なんですけど。マジで凄いわ「ハチクロ」。早く観なきゃ。)

 

⑩トビウオ

きました、超爽快ロックナンバー!!「霧隠れのあいまいな 背中追いかけ  指の先の平均値 汗がしたたる」というフレーズから始まる、先ほどの「不思議」以上に 夏!夏!!キュン💕って感じの夏ラブソング。ほんと、三ツ矢サイダーのCMソングに起用されてほしい。「ノドを駆ける、透明なシゲキ!!」なんてキャッチコピーと共にこの曲がワー!!と放映されちゃってほしいな!なんて。「思い出そうぜ トビウオになれ オーラじゃなくて 直接さわれる ホンマモンのエクスタシー」って歌詞はちょっとエロい。= エロ爽やかな曲?。って、実はそんなところもスピッツの大きな魅力だったりするから目が離せませんな。演奏も本当に良いな〜!ギターもドラムも、素晴らしい盛り上がりを見せてる。これはもう、ライブで聴いてみたいッスな。

 

⑪ネズミの進化

「醒めない」収録の「子グマ!子グマ!」「ハチの針」とか、「とげまる」収録の「シロクマ」とか、世界に存在する 日々疲れてる人間の不安とか辛い気持ちを抱えてる姿を可愛らしい動物に例え苦難の多い人生をうまく乗り切っていこうというメッセージを込めた楽曲こそ絶対的にスピッツにしか見い出せない独自の視点であるが、この曲・「ネズミの進化」は そういうテーマの中でもTHE・真骨頂!と言えるような素晴らしい名曲だ。「さらに高いところへ かけのぼるような 目覚めたネズミになる」「すぐに狭い逃げ穴 逃げ込めるような 小さなネズミになる」…って聴いてて本当に元気が出てくる。僕も、苦難をうまく切り抜けて、しんどいことにも動じない、世渡りの上手い、そんな”ネズミ”になってやろうじゃないか。

 

⑫漣 (さざなみ)

さぁ、ここに来てようやく表題曲のお出まし。これがもう、まっことベストポジションすぎて最&高。アルバム 最後から2番目曲の黄金ポジションにこんな名曲を入れるとは!ここまで聴いてきて良かった!!嬉しい!楽しい!大好き!(©ドリカム)と心から思える。

そんな楽曲「漣」は、ギターもストリングスも絶頂の盛り上がりを見せ、そのサウンドに思わず胸を打たれ、最高の感動へと誘われる 壮大なロックソング。

歌詞に関しては様々な解釈が出来ると思う。語り手が「なぜ鳥に生まれずに 俺はここにいる?」と自問し、サビでは「翼はないけど 海山越えて 君に会うのよ」というそのフレーズからは、『どんな姿に変わっても、必ず愛しい人へのもとへ会いに行くんだ!』という決意の様子が描かれているようだが、果たして具体的に、この歌の歌詞にはどういうメッセージが込められているのだろうか。深く考え込んでしまう。僕の脳裏に浮かぶのは、夜の海に巨大な龍が現れ、水を掻き立てて空へ飛び立つ姿だ。そしてそれは 語り手の生まれ変わりの姿であり、または 人生を変えるほどの強力な、燃え上がる恋心の具現化であろう。

ため息長く吐いて 答えはひとつ」…というフレーズで間奏を終え、そしてラスサビへの盛り上がりの展開……本当に興奮する。

スピッツ史上最高の名曲だと思う。

 

⑬砂漠の花

最後の曲。これまた役割的にしっくりフィット and ベストポジションなモンで、アルバムラストにとってもに相応しく、スピッツ屈指の名バラードと言える1曲。ピアノとギターの音色から構成されるシンプルな、それでいてしみじみと何かを考えさせられるような意味を含んだ力強い演奏と、どこかネクストステージに向かう決意を表明してるかのようなものを感じさせるような曲全体の世界観に (´;ω;`)ウッ…とやられる。「ずっと遠くまで道が続いてる 終わりと思ってた壁も 新しい壁だった」というフレーズが印象的。

『こんな感動をくれた「さざなみCD」よ、本当にありがとう。』…そう思わせてくれる、大きな愛を感じるラストだ。

 

 

……ということで、語ってみました。本当にスピッツの歌って素晴らしいなぁと、これを書いてて なんか、感動がより一層 強まった気がする。

では、この場を借りてってことになりますが、本当にスピッツの皆様、30周年おめでとうございます。これからも応援していこうと思うので、よろしくお願いします。ずっとずっと、素敵な音楽を作り続けて下さい。

#ベストソング2017上半期編 〜僕が感動した今年の邦楽20曲

Twitterで年末恒例の「今年の音楽シーン総括」タグ・「#ベストソング20xx」ですが、昨年から上半期末のまとめタグ「〜上半期編」も登場した為 その波に乗っかるといいますか、今回は、毎年年末の「じゃあまとめますよー!!」って勢いと同等に記事をまとめていきたいと思います。というのも、今年2017年の邦楽は色々と素晴らしい楽曲が多いんですよね。自分が好んで聴く音楽の幅が最近になってグッと広がったっていうのも勿論あるんだけど、それにしたって今年の邦楽は本当に凄い。この今の「胸熱」な想いを伝えつつ紹介したい…‼ ということで、書いていきます。良かったらご覧下さい。


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竹原ピストル「例えばヒロ、お前がそうだったように」 

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今年に入って最も心を奪われた音楽、それは竹原ピストル。この人、本当に凄い”歌うたい”だ。よくテレビでも紹介されている通り、言霊と熱さを以て発信する歌のパワーとギター 一本弾き語りのスタイルという魅力は勿論のこと、アルバム(現時点で聴いたのは「PEACE OUT」と「youth」)を聴いてみると ストリングスやエレキギター等の演奏や曲のテーマによって全く異なるカラーを打ち出した楽曲がズラリと並んでいるのが分かり、聴くたびに違う魅力を発見してしまう凄さがある。

歌詞の世界観は、何かを訴えるようなリスナーの心を思いきり鷲掴みにしてしまう力強さもあれば、自然とか日常の風景が輝いてみえるような聴いててホロリと泣けてくる美しき独自の視点もあったり、思わずキュンとして忘れられなくなってしまうような爽やかで愛しすぎるラブソングもあったりと、「もうノーベル文学賞 受賞してくださいよ!!」なんて言いたくなってしまうくらい心を掴まれた。

そんな素晴らしさがたくさん詰まった最新アルバム「PEACE OUT」から今回、収録曲「例えばヒロ、お前がそうだったように」が今年の個人的ベストソング第1位にランクイン。この曲、竹原さんが 亡くなった”ヒロ”という一人の人間に向かって、そしてリスナーと、今の世の中全体に向かって 様々な溢れ出す想いを”語り”と共に吐き出していくという曲なんですけど、これが本っ当に凄かった。アルバムの中で核ともいえる部分になってる重要な楽曲だし、正直この曲を聴いてなかったら ここまで竹原さんのこと好きになってなかった気がする。

途中で、「哀しいかな、消えてなくなって欲しいやつっているな。俺も誰かにそう思われてるだろ。」って切り出して、”ヒロ”のことを自分はどう思ってたか言う場面で、「あくまでほんとにギリッギリ、消えてなくなって欲しくない人間」って誤魔化そうとしてから、その後に、ちょっと照れたように、「まあ、そーだな。。友達だったぜ?」って言うところがあるんですけど、そこでもう聴いてて(ウワアー!!!!!(´;ω;`)ブワッ)ってなる。ほんと涙腺をやられてしまうんですよね〜。。その部分は勿論 曲全体のメッセージが本当に色々詰まってて、震えるくらいに「名曲だ〜!」って言いたくなる。この曲に心を掴まれ揺さぶられ、竹原ピストルという歌うたいとして、そして人間性にまで深く惚れて、この人のファンです!!って言えるくらいに急上昇。アルバム聴いてから約1ヶ月、非っ常に濃ゆーい音楽体験が出来ました。もうこれだけで今年ほんと良い年ですわ。

で、初聴き時に書いた感想については↑こちらのアルバムレビューがあるので見て頂けると誠に嬉しいのですが、このレビューでも触れられなかったので補足したいのは、結局 亡くなった”ヒロ”という人は一体誰なのか?ってことなのですが。で、調べてみて分かったのは この”ヒロ”という方は 竹原さんだけでなく色々な歌手のライブハウスを出入りしていた方らしく、なんと、クリープハイプ尾崎世界観さんも「リグレット」という曲で、そしてandymoriさんも「クレイジークレーマー」という曲で、同じ”ヒロ”という人物と面識があり、”ヒロ”について想いを語った曲を制作していたらしいんです!!

ということで、書きながら新事実が発覚して驚いてるところなのですが、とにかくこちらの楽曲「例えばヒロ、お前がそうだったように」は名曲ですので、まだ知らない方にはこの一曲を聴くためだけに、というかこの曲だけでもいいので、是非 アルバムを借りて聴いてみてほしいな〜と思います。

 

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これは日々なんかじゃない。
ぐずぐずぐずついたかさぶただよ。
根こそぎバールでひっぺがして、俺が見たいのは鮮血だ。
目が眩むほど、真っ赤な真っ赤な鮮血だ。

 

②女王蜂「失楽園

昨年YouTubeで偶然聴いた楽曲「金星」にどハマりし即配信シングルを購入し、年末のベストソングまとめにランクインするに至ったものの、昨年分の記事中では紹介は割愛していたので、ようやく語るタイミングが来たって感じ。
女王蜂、それは、国籍も性別も明かされていない謎だらけの美女(または美男子)・アヴちゃんが率いる奇抜で可憐な最強のロックバンドである。そんな女王蜂が今年 満を持してリリースした、自身”最高傑作”を謳っているニューアルバム・「Q」では 先ほど挙げた「金星」に新進気鋭の女性歌手・DAOKOのラップをミックスした、シングル時よりも8割増しのカッコよさを放った最強のコラボレーション楽曲が収録されたほか、今年YouTubeで公開された4作のPVのうち、児童虐待や崩壊する家庭を描ききった表題曲「Q」で映し出された 入水自殺をするアヴちゃんのワンシーンが「アウトロダクション」のPVの方でフラッシュバックしたり、既に死んでいて三途の川のようなところをさ迷っているような状態の霊たちが教会で楽しげに踊り狂う様を描いた「DANCE DANCE DANCE」のPVが、「失楽園」の方ではその霊たちの最期の姿が描かれそしてラストでアヴちゃんが天使の輪を取る=昇天、というストーリーに変化するという、アルバムの収録曲のPVたちがそれぞれ”繋がっている”という異例のプロモーションを行っており、それらも全て同じアルバム「Q」に収録。

で、その一連の流れに気づいてから「これスッゴいな…全部ちゃんと聴くしかないわ…」となったのをきっかけにアルバムを借りて聴いて、見事にハマった、という訳で。これが本当に良いアルバムだったんですね。「のぞむ景色がたとえどんなに違っても生きてかないと求めないと 涙溢れそうだけど」と歌う「アウトロダクション」、「強く強く生きてゆかなきゃ 世の中のせいにしてちゃ はじまらないから」と歌う「雛市」など 聴く人の心を包み込み奮い立たせるような、生命の鼓動を感じさせる音楽というサブテーマがこのアルバムにはある気がして、「この曲好きだな〜」とかよりももっとそれ以上の強い愛が芽生えたというか。

それで そういう所以があって、中でも最もグッときた楽曲「失楽園」が今年の個人的ベストソング第2位にランクインしたのです。先ほど紹介した通りPVのストーリー性と迫力が良いっていうのは勿論、「天国なんて行きたくない  好きな気持ちはどうしようもない  約束が守りたい」という胸に迫るような切実な歌詞、心の叫びが伝わってくる、どんな曲にも劣らぬ圧倒的なオーラを感じさせる突き抜けたラブソング。素晴らしい。演奏、メロディの切なさも圧倒的。あーもう、これ以上表現するにはもう語彙が尽きる……それくらい素晴らしい一曲です。


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Where is paradise?
探さない?  あるかもしれない

禁断の恋は報われない?
やってみないと判らない

 

椎名林檎トータス松本「目抜き通り」

昨年 リオ五輪 閉会式の音楽も、紅白歌合戦での東京事変の復活も、今年 アニメ「昭和元禄落語心中」の主題歌として林原めぐみに楽曲提供したり、大きな話題を呼んだドラマ「カルテット」に楽曲提供したりと 各方面で大忙しの林檎さんが満を持してリリースした新曲はなんと、トータス松本とのコラボ曲で、GINZA SIXのオープンを記念したテーマソング。あまりの上質さ、ゴージャスさにやられましたね。↑この動画、公開されたのがある夜の12時だったんですけど、あまりの興奮にその夜は全然 眠れませんでした(笑)。その数日後には各配信サイトでの配信がスタートしたので即購入。その一週間後にはお二方のMステ出演と、大変盛り上がりましたね。

今回これを聴いて意外だったのは、トータス松本が想像以上に”林檎ワールド”に溶け込んでいたということ。もうずっと前からその世界の住人だったように。紳士な感じが伝わってきてとてもカッコいいし、キュンとさせられますね。素晴らしい。あと、昨年の楽曲「ジユーダム」を聴いた時も思ったけど、近年の林檎さんは結構ストレートにリスナーを元気づけるような歌が増えてきた気がするんですよね。林檎さん自身はインタビューで、「聴いてる人を意識して曲を制作するなんてことは絶対にない!注文された通りのモノを制作してるだけですから!」なんてよく仰ってるけど、全くリスナーを意識してないってことはないんじゃないかな、ってつい思ってしまう。伝わってくるのは、”母性”、というか。本当なんなんだろう。やっぱりツンデレなのか?

そして最近、インタビューで「アルバムもそろそろ出さないと」というようなことも発言されてたので、非常に楽しみですね。今後の活動にも期待。

 
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あの世でもらう批評が本当なのさ
デートの夢は永い眠りで観ようか
最後の日から数えてみてほら御覧
飛び出しておいで 目抜き通りへ!

 

tofubeats「WHAT YOU GOT」

今年自分がハマりまくっているアーティストの1人、それはtofubeats(トーフビーツ)!  1年半前に星野源のラジオのジングルを作ってたので知ったっていうのと TwitterのTLである方がオススメしてた楽曲「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」を聴いたのをきっかけに好きになったもののCDを借りることとかはなかったんだけど、今年久しぶりにアルバム出るって聴いてYouTubeで色々聴いてたら「ディスコの神様 feat.藤井隆」とか「おしえて検索 feat.の子(神聖かまってちゃん)」とかワクワクが止まらなくなる音楽の宝庫で「これはちゃんと聴かなきゃ…!!」ってなり、すぐに「First Album」「POSITIVE」の2枚を借りてきてどハマりし、結果今年は自分の中で”tofubeats 旋風”吹きまくりの年となった訳です。

で ニューアルバム「FANTASY CLUB」のリードトラックになっている楽曲「WHAT YOU GOT」を聴いてみて思ったんだけど、トーフさんは本当に、ほとんど同じフレーズしか繰り返さないのに少しずつ何かを変えて盛り上げてって、ラストで絶頂のテンションに持っていくっていうのが上手すぎるんですよね。先程挙げた「First Album」収録の「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」とか「POSITIVE」収録の「STAKEHOLDER」にも同様のことが言えるんだけど、今回の「WHAT YOU GOT」は フューチャリングありなしとか関係なくtofubeats史上最高傑作曲なんじゃないかと思う。過去「Don't Stop The Music feat.森高千里」などの曲から分かるように元々トーフさんが作る楽曲たちの根底には「音楽の力で元気を出していこう」っていうテーマがあるから より一層 音から魔法のようなパワーが伝わってきてワクワクして、ってそこが僕が惚れてしまうトーフさんの魅力だったりするんだけど、そういう意味でも今回の「WHAT YOU GOT」はなかなかに素晴らしい。

8000円の動画素材を3本買ってトーフさん自身が制作したという(!)PV映像の、シンプルなようでいてジワジワと引き込まれる圧倒的中毒性もさながら、動画のコメント欄には常にその音楽に酔いしれる人々のコメントに溢れてて、なんかそれ見ながら「嗚呼、良いなぁ。」と思う。中には茶化すようなネタ的コメントもあるんだけど、それにも全部愛があるっていうか、「”tofubeats好き”に悪いヤツはいない!」とさえ思えてしまう。現代音楽ってやっぱり最高だ!!と改めて強く感じさせられますね。

 
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些細な愛で 感じたいの
感情はちょっと不安定
振りまいてよ your love
もっとDJ 踊れるやつちょうだい all night
フロア最前でもっとshow me what you got 

 

平原綾香「三日月〇〇」
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(個人的な事情を言うと)今年の春、大学受験とか色々ゴタゴタがあって疲れた影響からか「何か、思いっきりスッキリするような (または、高校生活が終了したばかりの今のモヤッとした自分の心に区切りを付けてくれるような)学園ドラマが見たい」と思い、当時はちゃんと見れなかった、2012年に放映された大型スペシャルドラマ「ブラックボード〜時代と戦った教師たち〜」を見返していて それはそれは大いに感動し、ドラマと、主題歌に起用されていた平原さんの「BLESSING 祝福」 共にどハマりし それが収録されている2004年のアルバム「The Voice」を借りて聴いた影響で じわりじわりと平原綾香にハマっていき……と、振り返れば「2017年春=平原綾香を聴いていた季節」というイメージになった。

そんな中、僕が大大大好きな 原由子さんが、今年 平原さんがリリースしたニューアルバム「LOVE 2」の企画として「約束のこの瞬間に」を楽曲提供することが決定し 「凄い!絶対聴かねば!!」とワクワクしてスタンバってたものの、実際アルバムを借りて聴いてハマったのは レミオロメン藤巻亮太さんが楽曲提供した「三日月〇〇」(みかづき まるまる)であった…という経緯。

そういう訳で今回 藤巻さんの作った曲を初めて聴いたんですけど、いやはやこれは素晴らしい。時期的に少しズレてしまったけど、この「三日月〇〇」という曲はなんと、眩しいくらいにキラッキラしてる最高の春うただったのです。自分 藤巻亮太どころかレミオロメンにも全然詳しくないから知らなかったけど、藤巻さんって方は春の名曲を多数 制作してらっしゃるんですね。歌詞からもメロディからもベテラン感がハンパなくて、初聴き数秒でズキューン💕ときた。こんな良い春うた聴いたの何年ぶりだろう。勿論 平原さんの温かみのある歌声も、ラスサビで子供たちがコーラスする盛り上がりも、一音一音の現代音楽チックなアレンジも最高なんだけど、やっぱりなんといっても歌詞が素晴らしい。来年の春は絶対、桜並木を見ながらこの曲を聴こうと思います。

(※ちなみにタイトルについて藤巻さんは、「へんてこなタイトルですが、その◯◯に、自由なイメージを投影して聴いて頂けたらと思います。」とコメントしている。)

三日月○○

三日月○○

 
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雨上がりの空にそよぐ君の髪が
綺麗だね 沈丁花

三日月さらさらと揺れて 眩い恋をした
温もり確かめ合うよに 君の手を握った

 

Base Ball Bear「すべては君のせいで」

ベボベ、新体制として初のニューアルバム「光源」。新作の発表は色々あって久しぶりだったんですよね。このアルバム「光源」がベボベの完全復活作となった訳ですが、正直ホッとしましたね。

ずっと4人でやってきたのに、突然の3人体制ですよ。あの発表があってから約1年、ずっと心配でした。どうなるんだろうベボベ、次作品出すんなら、どんな感じに??とかモヤモヤしたものがずっとあって。で、「光源」が出るって決まった時はとにかく「ヤッター!復活だ!」って嬉しかったですね。収録曲が8曲っていうのもワクワクした。8曲って、一曲入魂って感じが伝わってくる、絶妙な曲数だ、本気だ、って聴く前から思ったりして。

そして「すべては君のせいで」を初聴きして、その王道な、今まで作ってきたテーマを貫いてる感じに本当にホッとした。これぞベボベだ!と。でもそれでいて、演奏の端々から確かな進化が伝わってきて、グッときた。

「すべては君のせいで 毎日が眩しくて困ります」…この、サビの歌詞、もう大変。ベボベの世界観の集大成すぎるし、切実で真っ直ぐすぎる、甘酸っぱすぎる。暗い教室の中で毎日、優しい1人の女性の笑顔に救われて、惹かれていく感じ。今までどの曲にも同様のテーマは描かれてたと思うけど、ここまでキュンとくるのはなかなかに集大成ですね。何より「心が#(シャープ)していきます」って表現が絶妙すぎる。ありそうでなかった絶妙な表現。これからラブソングのフレーズとして定番化していきそうではないか、と思うが、と同時にこれがベボベにしか出来ない芸当なんだなぁと実感。

「すべては君のせいで なぜか頑張ろうとか思ってます」、「すべては君のせいで 毎日が愛しくて困ります」……最高のラブソングだ。キュンとくる。。この歌のせいで毎日が愛しくて困るわ。。

アルバム「光源」、この曲以外にも「SHINE」、「Darling」、「逆バタフライ・エフェクト」とか気持ちが高ぶる名曲が多くてベストソング選びにはなんとも困りました。良いアルバムでしたね〜。これからもBase Ball Bear、応援していきたいです。


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すべては君のせいで 毎日が愛しくて困ります すべては君のせいで ああ、季節に意味を感じます

 

ケツメイシ「人生劇場」
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僕が大好きなケツメイシさんの今年の第1弾シングルはなんとツアー会場限定&配信シングルということで、ツアーテーマソング「人生劇場」、東京新聞のCMソングとして放映中の 爽やかだけどちょっぴり風刺色 強めな春うた「僕らの暮らしっく」、そして「KITTE名古屋」のオープン記念ソング「つながって」の超豪華3曲入りシングルなんですけど、いやーどれも良かったな〜。ちゃんと購入したファンしか聴けないってシステムな訳で(自分は配信で買ったんだけど)、これ普通にCDシングルとして発売するべきだったでしょう!!勿体ない!!…ってくらいの良曲揃いだった。

本当にケツメイシさんは、一体どこまで広いジャンルの曲を作るんだ!!ってくらい多彩なんですよね。今回の「人生劇場」は 管楽器のサウンドに魅せられるジャズ調の煌びやかなナンバーで、またまた新境地を切り拓いてしまってるのであります。歌詞から伝わるワクワク感も素晴らしいけど、「こんな曲も作っちゃうんだ!!歌っちゃうんだ!!」って感動は毎度凄いんですよね〜。それにしても今年のケツメイシ、アルバムをリリースしたばかりでツアー中とは思えないくらいの勢いで最新曲を更新している。来月には”待たせたな!!”と言わんばかりに34枚目シングル「はじまりの予感」をリリースするし。(←夏うたで、昨年の「さらば涙」同様 鈴木ちなみさんの出演するDHCのCMソングに決定してるんだけど、本当にワクワクが止まらない!!) この人たちにはずっといつまでも、色んな歌に魅せられて音にドキドキワクワクさせられ続けることでしょう。なんという音楽天国。ありがたやありがたや。

人生劇場

人生劇場


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幕が上がれば 輝くステージ
台本無し タイトルも無し
センターピンスポ 待った無し
回りだしたら終わらないストーリー
主役は君 脚本も君
喜怒哀楽 演じていく日々

 

ウルフルズ「バカヤロー」

今年ウルフルズはデビュー25周年、ということで記念アルバム「人生」をリリースし、そのリードトラックとしてこの「バカヤロー」が収録されています。

正直ウルフルズの曲ちゃんと聴くの今回初めてだったんですけど、ビックリしたなぁ。歌詞の重みが凄い。なんて言ったらいいんだろう、もう1フレーズ1フレーズが聴いてて涙出てきちゃう。デビュー25周年を記念する楽曲のはずなのに、終始 重くて暗い。でもそれでいて、”俺らはこういう曲を作るバンドなんだ、聴いてくれ”って静かに語りかけてくるような、正に狼=ウルフのような野生を感じるというか。 「夢なんかクソくらえ」。「胸が張り裂けそうで」。「なのにワクワクさせられ」。「時に地団駄を踏み」。「明日とかふざけんな」。「いつも自分を疑い」。「涙ポロポロ泣いて」。「いつか誰よりも笑う」。…出だしがこれですよ。もう全てにガーン!とした衝撃を加えられるような、なんて言ったらいいんだろう、力強さというか、もっともっとそれ以上のものを感じる…。ていうか、自分 スッゴくマイナス思考になることとか多いし、くだらないこと気にして悩みまくったりする性格なので、正直 歌詞にめちゃくちゃ共感できてしまうんですよね。明日が本当に不安で仕方なくて泣きそうな(ほぼ泣いてる)夜に「明日とかふざけんな」って切実に思いますもん。

最初この曲聴いた時は 「トータス松本さんはどんな人生を送ってきて、どういう気持ちでこの歌詞を書いたのだろう?」ってしばらく思ったりもしたけど、 よく考えたら特別なことなんて一切なくて、人間の誰もが抱くネガティヴな感情に寄り添ってくれる歌なんじゃないか?って思った。そしてそれはトータス松本さんが抱く、または過去に抱いていた感情でもあって、特にまだ小さなことでウジウジと悩みやすいティーンエイジャーである僕みたいな人にメッセージとして向けてるんじゃないか?って。

”いつも不安を味方に 誰よりも自分のファンでいる”……このフレーズが特に聴いててグッ…とくる。なんだか、とんでもなく凄い名曲に出会ったわ。なんか折角 感想書いてるのに、まだ色々と想いが消化できてないわ。25周年というタイミングでこういう曲を放ったウルフルズの想いとは。意味とは。なんなの。泣きそうですよ。とにかく、こういう曲に出会えた今年は本当に幸福だ、としか言えない。

 
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情熱のバカヤロー   怖いものなどない   寝転がって目を閉じた   道はここから

 

クリープハイプ「イト」

今年はクリープハイプをちゃんと聴くのも初めてでした。正直今まで歌声がちょっと馴染めなかったというかそういう感じで聴いてなかったんだけど、今回の「イト」はもうこれまで思ってたこととか何もかも吹っ飛ぶくらいにポップで突き抜けたロックソングで非常にグッと心を掴まれましたし、歌声も好きになりましたね。大々的に宣伝された映画「帝一の國」の主題歌ということで、(音楽評論家的に言うと)売れ線全開なナンバーで、これは聴き逃せない!ってモノがありまして。

てな訳で 配信で曲を衝動買いしてしまうのなんてしばらくぶりだったんですよ。ていうかPVが面白すぎ。ほいけんたとか清水ミチコが出てくるあたりが特にツボ。曲がポップでカッコイイ上に映像がシュール可愛いってイイトコ取りすぎる。あと、演奏に注目するのも初めてだったんだけど、ギターの音とかイヤホンで聴いてると「うおおおかっけえええ!!」ってなって惚れました。歌詞も深くて良いですよねぇ。尾崎世界観さんの作り出す世界観は素晴らしい!!(←これが言いたかっただけ)

クリープハイプ、今後も色々と聴いていきたいと思います。


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いつかこの糸が千切れるまで 今は踊れ手のひらで   どうか重ねた手の温もりで 何度でも探せ

 

Sing Like Talking「6月の青い空」

Twitterでオススメしてらっしゃる方がいて知った、80年代から活躍するバンド・Sing Like Talking(シング ライク トーキング)。大人の方の世代には有名らしいですが、自分みたいな若造には全然知らない領域でしたね。こんな素敵なバンドがいたんだ!!と感動。いやー、勉強になります。

聴いたきっかけはYouTubeであり近年に公開されたPVを再生してたんですけど、なんともフレッシュな感じが凄いんですよね。30年来活動してきたバンドとは思えないくらい、新しさと爽やかさでいっぱいなんです。一見 ポップで現代音楽現代音楽してるようでいて、実はその波に染まらぬアイデンティティーというか、そういう確固たるモノ、貫禄が滲み出てる。正直、30年も前から活動してるバンドが 現代でもこんなに洗練された、新しい音楽を作ってる例って、なかなか珍しいと思うんですよ。歌謡曲を主に歌ってきた歌手が現代になって突然オートチューンを取り入れた楽曲を歌おうとしても、確実に周囲からの意見が賛否両論になるかもしれないじゃないですか。でもSing Like Talkingは、そういう”時代の壁”みたいなものを全部とっぱらって、振り切って輝いてる気がする。(上手く言えないけど)

今月リリースされたばかりのニューシングル「6月の青い空」は今秋公開予定の映画「Music Of My Life」の主題歌、そして現在 「情報ライブ ミヤネ屋」のエンディングテーマとなっており、梅雨の間の僅かな青空に喜びを感じさせる、超タイムリーで爽快で、ちょっぴり切なくなる素晴らしい一曲。梅雨とはいえ なんだかんだで最近は空が晴れてる時間も多いので、もう毎日 屋外で絶賛ヘビロテ中でございます。ずっと忘れられない”6月の名曲”の誕生の瞬間にSLTに出会うことが出来て、感激。


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6月の一瞬の青い空の下
弾けそうな笑顔のキミを抱き上げる
たぶん明日も分厚い雲
かまわないさ それさえも
キミと形にしていく日々さ

 

平井堅「ノンフィクション」

去年の平井堅がシングル2枚と5年ぶりのアルバムのリリースで魅せた”楽曲の多彩性”というものはやっぱり素晴らしくて 年末時点では「よーし!来年も全力応援!!」って感じだったんだけど、いざ今年入ってシングル「僕の心をつくってよ」とか出たら「あー、アルバム収録されるまで待ちたいから今はちゃんと聴かないでおこう」って思って、で、4月期”山下達郎と並ぶ『日曜劇場』最多タイ主題歌起用”ってニュースが出て「うおお!!?凄いじゃん!!」って感動したけど、肝心のドラマ(「小さな巨人」)がどうもあまり好きそうじゃなくて主題歌とか興味持てなさそうだなと思ったのでやっぱり「あー、アルバムに収録されるまでちゃんと聴くのはよそう…」ってなって、でその後すぐに「ノンフィクション」がYouTubeで公開されたので「やっぱ聴いてみよう」って思って聴いて、ようやく度肝を抜かれた。

この歌詞なんだ!?  近年の平井堅の雰囲気とは何かが違う…ドラマのストーリーと世界観を合わせてるのかな…?? いやそれにしたってテーマが深いぞ…!? って驚いて。正直タイトル聴いた時点ではポップで割とアップテンポめな曲になるのかな?って思ってたから、演奏がギターのみから入りハーモニカとドラム、ストリングスっていうシンプルな構成にも驚いたし、かえって新しさを感じたというか。

で、Mステでこの曲が披露される時に堅さんが「亡き友人に向けて書いた歌」って仰ってて、そうなんだ!!って、驚いたし凄く納得したし、暗闇の中で片手に花束を下げて歌唱する姿にも凄く心を奪われた。なんだろう、「亡き友人に向かって届かぬ想いを叫ぶ」ってテーマとしては先に挙げた竹原ピストルの「例えばヒロ、お前がそうだったように」みたいな感じなのかなぁとか、「人間心の根底にあるような不安という感情を表現しリスナーに語りかける」っていうテーマとしては先に挙げたウルフルズの「バカヤロー」みたいな感じなのかなぁって考えるけど、実際全然何にも似てないし、言い表しようのない確固たるモノというか、そういう魂みたいなモノがこの曲にはあるんですよね。ラスサビの「秘密 涙 一人雨  目覚めたら襲う不安」の部分でギターの演奏にアクセントがついてるところが聴いてて鳥肌がサーッと立ちますね。

で、Mステの披露の後「ノンフィクション」、YouTubeの音楽 急上昇ランキング1位にしばらくの間 登りつめていたのを僕は見逃しませんでしたからね!(笑) みんなMステ見て来たんだ〜って、人々の心が揺れ動く様が目に見えて伝わってきたのがなんか面白かった。高評価はあともうちょいで1万に届きそうですので、是非もっとみんな聴いて!って思います。(←何様)

そんな平井堅さん、来月にはベストアルバム「歌バカ 2」をリリース予定で、スペシャルディスクには僕の大好きなtofubeats中田ヤスタカ石野卓球、そして槇原敬之横山剣草野マサムネ×亀田誠治BONNIE PINK×村田陽一 etc…が参加とかいう、割とマジで気絶しそう内容。 楽しみですね〜!

 

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人生は悲劇ですか? 成功は孤独ですか?  僕はあなたに あなたに ただ会いたいだけ

 

Perfume「宝石の雨」

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昨年アルバム「COSMIC EXPLORER」をリリースし、更に”世界に発信する音楽”として進化を遂げたPerfumeは、今年のシングル「TOKYO GIRL」でもそういうテーマが発揮されており、年々シンプルで 世界共通の音楽として伝わりそうな雰囲気とアンセム感が増していってる気がする。が、個人的には正直 去年アルバムを聴いた時点からずっと「なんか、変わっていっちゃうな…寂しいな…」とか思ってたりした。(3人自体が変わらないのは良いのだけれど)。

……とか言いつつも、いつも揺らがないモノがあるのがPerfumeカップリング曲の良いところ!(と勝手に思ってる…)ということで今回も良かった。「TOKYO GIRL」のカップリング曲として収録された「宝石の雨」は、「Ora2 × Perfume」のCMソング。のっち曰く「雨の日もハッピーになれるような、雨上がりも素敵に見えるような、柔らかい優しい曲」ということで、本当にその通り言葉の素敵な楽曲ですね。お天気雨(晴れ×雨の天気)の中でこの曲聴いてると心地いいんですよね。

今年、ドラマ「パンセ」で女優デビューもしてしまったPerfume。段々広い分野に活躍が広がっていくようですね。これからも応援していきたいです。

宝石の雨

宝石の雨

  • Perfume
  • エレクトロニック
  • ¥255


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Rainyで綺麗に 精錬の過程に
ほんのマジックみたいなの
Rainyなくらいに 控えめなそれに
宝石の粒を 降らすの

 

ゲスの極み乙女。「シアワセ林檎」

去年から 川谷絵音さんの報道により活動自粛が決まってたゲスの極み乙女。だったけど、

↑このツイート以降 「達磨林檎」収録のPVたちが次々と公開された。正直 例の報道が出た時 僕は、「なにやってんだよ…もうおしまいなんじゃない?」なんて失礼なこと思ったし実際Twitterでそんな感じのことを呟いたりもしちゃったけど、ほんとあれは反省したい。スミマセンでした。以降公開されたPVたちと曲には全て、心を奪われた。熱意というか、なんだろう、熱さみたいなのが伝わってきたんですよね。それらが収録されたアルバム「達磨林檎」を聴くのも、いつしか楽しみになってましたね。

ていうか本当に、「シアワセ林檎」が良い曲すぎるんだ!!YouTubeのPV 再生して妹と聴いてて「え、この曲スッゴイ良い曲!」って2人して感動して、なんだか瞬時に心が通じ合った気がして音楽のパワーを感じた。「気づいたらさ どうでもいいことが幸せに感じる」って実感した瞬間でしたね。後半の「あの日あの時言えなかったのは  I love you   林檎みたいに赤くなっても言いたかった」ってところの展開もグッとくるし、演奏は相変わらずハイパーかっこよくて聴いてて間奏なんかほんと酔いしれちゃうし、色々と素晴らしい楽曲だ、「シアワセ林檎」。 本当に川谷さんは、人の心を動かす音楽を作るのが上手いんだなぁと改めて思った。


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世界平和の為でもそうじゃなくても
悲しさの先に生まれる
幸せを肴に話でもしてみませんか?

きっと楽しいからさ

 

Awesome City Club「Action!」
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新進気鋭のシティーポップバンド・Awesome City Clubが今年 “Awesome City Tracks”シリーズの最終章としてリリースしたアルバム「Awesome City Tracks 4」は、これまで以上にポップで様々な曲調を取り入れた、確かな進化を感じる1作でしたね。リードトラックになっている 中毒性がハンパじゃない楽曲「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」も良かったけど、アルバム後半の「次なるステージに向かうんだ」って意気込みが感じられる雰囲気もなかなかで。その中でも最後の楽曲「Action!」は特に良かった。「未来は百花繚乱」って、自分の座右の銘にしちゃいたいくらい良いフレーズじゃないですか。

”Tracks”シリーズが終了し今後どんなCDをリリースしていくのか、期待ですね!!

Action!

Action!


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張り詰めた 空気のままじゃ ほら 期待もできないでしょう
窓開け放って Reaction じゃなく Make Action!
いつかじゃなくて 明日じゃなくて 今すぐに飛び立って 未来は百花繚乱

 

↓以下は、何かしらのきっかけがあってYouTubeで聴いて「良いな〜」と思った楽曲群。上の楽曲群のようにちゃんと聴き込んだ訳ではないので、あまり掘り下げない感想にさせて下さい。笑↓

 

⑮ゆず「タッタ」

ゆず20周年!めでたいな〜。PVも相変わらず素晴らしい完全度で、とっても引き込まれます。今回は久々の弾き語り調ってことで、やっぱりゆずといえばこうでなくっちゃ!っていう要素が詰まってる気がする。

 

水曜日のカンパネラ「メロス」

なんかこの曲凄いぞ!?  水カン、ついに来ました新境地。映像と音楽 共にとっても興味深い作品。再生が止まらない。アルバム「SUPERMAN」の方も早く聴かないとな〜。

 

電気グルーヴ「人間大統領」

さすがは電グル× 天久聖一アニキ!!もう色々とアウトっす。(笑)

 

岡崎体育「Natural Lips」

1年半くらい前にTwitterでツイートしていた「冷蔵庫に貼ってあるレシピを英語っぽく読む」というネタをついに楽曲に組み込んでしまった岡崎先生。ほんとこの人天才ですね。てか謎の振り付け…wwwww 日常の重要な局面で思い出し笑いしそうになるからほんとやめてほしい。  (褒めてる)

 

林原めぐみ今際の死神

今年ハマったんですよね〜「昭和元禄落語心中」。マンガ全巻読んで感動してボロッボロ泣いちゃって。そのアニメの主題歌を僕が大好きな椎名林檎さんが彩ってるって、もう胸熱でしかないんですけど。今回も林檎さん得意の”ピッタリ3分間楽曲”ということで、もう相変わらずカッケーです、震えますよ、ハイ。林原めぐみさんの曲、今後チェックしてみたいですね。

 

【おまけ/SPOT LIGHT】

ヤバイTシャツ屋さん「ヤバみ」

実は、今年存在しているアーティストの中で最も特筆すべきアーティストは、ズバリ、”ヤバイTシャツ屋さん”です。愛称・”ヤバT”。

何年か前(2年くらい前?)から「個人的な感情とかをコミカルに歌ってる、変な名前のカオスで面白いバンド」って認識は印象としてうっすらとあったんだけどちゃんと聴いたことはなくて、今年 偶然YouTubeで「あつまれ!パーティーピーポー」を聴いて面白いな〜って思ったのと なんとなく公式ホームページ( http://yabaitshirtsyasan.com/ )を覗いてみたら色々と可笑しすぎて爆笑したっていうのがきっかけで、以降はとにかくこのバンドの存在が気になって仕方がなくて興味深さが日に日にアップしていったって次第で。で、近年 大きな話題となっている「MUSIC VIDEO」「感情のピクセル」含め 岡崎体育の面白いPVたちを作ってる”寿司くん”って監督が ヤバTのボーカル・こやまたくや さんと同一人物っていうのを知って、とても驚いた。そして、その”寿司くん”というものが監督をする上でのハンドルネームだけではなく 以前その”寿司くん”というキャラクターが主役のアニメが制作されていてグッズも作られて一部のサブカル界隈で一世を風靡し(?)、それらを全て考案していたのもヤバTのこやまさんっていうのを最近知って、もっともっと驚いた。

↑こちらがそのアニメ「寿司くん」の動画。シュールで面白くてツボにハマるし中毒性がハンパじゃないし、一度見だすと他の話を見たくなって止まらなくなる(笑)

ていうか本当に、こんなに面白いアニメを考案して、PVの監督もして、自分のバンドも運営してしまう こやまたくや さんって、一体何者なんだ…!!!!!!って話なんですけど。

で、今年 4thシングル「どうぶつえんツアー」の収録曲として公開された「ヤバみ」のPVではなんと、カメラが勝手に引いてってメンバーの様子が確認しづらい状態になり、それに対してメンバー自身が曲に被せてツッコミを入れるというこれまで以上に斬新なネタを披露。結構 重要なことを歌ってるのに、聴かせる気ゼロっていう(笑)。最初見た時ほんと笑いすぎてお腹痛くなった。開始早々めちゃくちゃな英語歌詞をオシャレ風に歌っといて その後でありほぼさんが「いっぱい英語で歌ってみたけどあんまり意味ないよ!☆」って言うところもなかなかカオスで可愛い。「日本語の乱れがどうたらこうたら言うけどいつの時代でもおんなし ふいんき良ければそれで全然大丈夫だからまぢウケんね   偏差値が20ぐらい下がってく」って早口で言う歌詞も面白い上に説得力があって良さみが深い。もう色々ヤバみを感じる。

そしてそして、先月 公開された ロッテ「キリトールガム」の20周年プロジェクトソング「とりあえず噛む」では いつものふざけた感じの雰囲気はなく、真面目で熱い曲も作ってしまうバンドなんだってことが発覚(もっとも、歌詞は相変わらずコミカルですが)。どこまで多彩なんだ、ヤバT。

 

正直、この世に存在するあらゆる創作物の中で、最も「嫌悪なムード」から遠い存在って、 「シュールで笑えるモノ」だと思うんですよね、僕。単純に 元気が出るような創作物だって、感動して泣けるような創作物だって良い。だけど、もっとも嫌な事を忘れさせてくれる、心が欲してる世界こそ、”シュールさ”だと思うんです。そういうモノを、こやまさんがやろうとしてることは全て満たしている。イコール、こやまさんが作ろうとしている世界は正に”ユートピア”なんですね。ちょっと話が飛躍しすぎてる感じはありますけど、どうか伝わって下さい(笑)。まだヤバTを知って間もない自分だけど、とにかくそういう印象を受けたんですね。

 …てな訳で、ヤバイTシャツ屋さん、今後も大注目のアーティストでございます。

 

(↓そしてこのアー写…www)

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ヤバみバみバみバみバみが深みで
本当に言いたいもんなんて本当は伝わらないもんね  ヤバみバみバみバみ
さぁみんな来い follow me

 

 

ということで。本当に今年は楽しい音楽が盛りだくさんの年ですね。

下半期には、超待望の桑田佳祐さんのニューアルバムのリリース、そしてサカナクションのニューアルバムのリリースが待っており、今年はそれを楽しみに生きているといっても過言ではないのですが、両方ともなかなかに焦らしますね。。まぁ、本当の楽しみは後に取っておこうってな感じで。下半期も、素敵な音楽にたくさん出会えますように。

 

映像監督・児玉裕一の魅力に迫る。

超ベテラン人気映像ディレクター・児玉裕一(こだま ゆういち)。41歳。あの椎名林檎サマの夫であり、誰よりも妻を美しく撮る男。

今回は、そんな児玉さんの作る作品の魅力について語ってみようと思います。

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まずこの方、監督を務めているMV作品に東京事変サカナクションPerfumeBase Ball Bear水曜日のカンパネラなどがあり どれも映像と音楽 共に個人的な嗜好として大好物な作品のオンパレードなため 勝手に「皆が知ってる有名な監督さん」ってイメージになってますが、知らない人は知らないですよね。で、どれほど凄い方というと。

これ!去年のリオ五輪の閉会式で話題となったこの演出。これでチーフ映像ディレクターを務めた方が児玉さんです。この時の音楽はご存知 椎名林檎さんが担当されて、いやーこれは盛り上がったな〜。児玉さんも林檎さんも、夫婦共に 日本のカルチャーを盛り上げる頂点におられるんだっていうのを確信した瞬間でしたね。

そして、去年話題となった作品を挙げると、このMVもそうです。

宇多田ヒカル「二時間だけのバカンス feat.椎名林檎」!!これも本っ当に盛り上がりましたね〜。このお二人さんがまさかあんなことやこんなことに♡なってしまうとは…凄まじい演出。日本の音楽ファンを興奮の渦に巻き込んだ、確実に「歴史的一作」とも言える一つの映像作品となりました。

 

てな感じのを撮ってる方ですが。

では、児玉さんの撮る作品のどんなところが好きなのか、具体的に挙げていこうと思います。

 

とにかく、映るものの全てが美しい。

まぁ主にこれなんですけど。

例えば、個人的にめっっちゃ好きなのが、Mr.Children「エソラ」のMV。(※2008年)

スーパーマーケットが舞台なのですが…
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メンバーが棚の横を駆け抜けることによって…
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流れる景色がオレンジと白と黒の流線に変り、このMVのメインビジュアルになるという…!!!!!
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いやーー……なんて美しい…。こんな発想、誰が思いつくんだ!って。 まぁこれは共作MVのため一人でこれを考えた訳ではないと思うので「児玉さん(のみ)が素晴らしい!」って推すと若干 語弊がある感じになっちゃいますが、こんな風に、誰も思いつかない方向から、誰よりも ズルイくらいに美しく映像を魅せるのが児玉さんの魅力ですね。


そして。

出演するメンバー 1人1人のスポットの当て方が素晴らしい。

このテーマにおいて一番特筆すべきは、東京事変「新しい文明開化」のMVですね。(※2011年)

 

ショートヘアーに黒縁メガネという、このMVでしか見れない特別なビジュアルの林檎さん。

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壁に同化していた浮雲さん。
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仮装大賞パロに参加する刄田さん。f:id:fuurintakino:20170528230009j:image

機長役を務める伊澤さん。
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新しい亀田誠治(?)さんとか。
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こんな感じで、児玉さんは、出演しているメンバー1人1人を本当に魅力的に映すんです。

 

これが Perfume「Pick Me Up」の場合は… (※2015年)


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これまで描かれてこなかったような視点で、3人がそれぞれ”自分”と向き合う姿が描かれるという、Perfume MV史において確かな新境地を切り開いた作品となりましたね。

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そしてこの、「運命感じる3・2・1」の時に1人1人をアップで映すカット。カッコ可愛すぎて、ファンとしては本当にド興奮モノで最高の仕上がり。

 

あと、近年で一番 感動したのはSMAPの「華麗なる逆襲」ですね。(※2015年)

MVのラスト、メンバー1人1人の名前と姿が印象的に映し出され…
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そしてタイトルドーン!!、って、カッコよすぎでしょ!!!!!。これですよ、視聴者が求めてる映像のカッコよさって。こういうシンプルで洗練されたところに魅力があるんですよね。SMAPが今や存在しない現在は、このMV作品の存在がどんなに有難く尊ぶべきものか…!なんて言いたくなります。

 

そう、タイトル。ここにもスポットを当てたい。 

 

タイトルの出し方(& 文字の出し方全般)、毎回カッコよすぎ問題。

先ほど挙げた東京事変の「新しい文明開化」をもう1度挙げると、
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ダンボールを蹴って紙吹雪が爆発してタイトルがドーン!っていう最高にロックでお洒落なラスト、が用意されてるワクワク感とか。

 

Base Ball Bear「BREEEEZE GIRL」では。(※2009年)

風の吹き抜ける屋上が映し出されて、タイトルがドーン!からの「Base Ball Bear」って出るこのテンポの良さ、気持ちの良さとか。
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そして、近年の児玉さんの作風だと、画面の右に歌詞字幕が映し出されるのが主流ですが…
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今月公開されたばかりのMV作品、ウルフルズの「バカヤロー」では、この演出に大きな拘りが見られたりするんです。


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2番の部分まで歌詞字幕が出ていたと思ったら、
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ラスサビではそれが消えて、メンバーが熱唱する表情が大写しになるという……いやーー、凄いな。この粋な演出にはやられますよ。涙腺やられる。

で、ラスト、フェードアウトしながらタイトル出るところもカッコよすぎて鳥肌立ちまくり。児玉さん、そしてウルフルズの皆さん、最高ッス。

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ゾクッとさせる刺激的要素も!

ここまでずっとビジュアル的な面に注目して児玉さんの作品の魅力に迫ってきましたが、MVの中にストーリーを持たせて視聴者を引きつけるという演出も超一流なんだってことにも触れておかねば。

2015年に公開された椎名林檎さんの「長く短い祭」。こちらの作品、あまりにも映像内容が衝撃的なため、林檎愛好家 および音楽ファンの間では大きな話題となり散々 感想、考察が飛び交ったものです。

 

冒頭、水が溢れる浴槽と、暗がりで手を洗う女性。
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そして女性は夜の街へ繰り出し、ディスコで踊る。どういうMVなのかな〜って思いつつ見てると…
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ラスト、時間が巻き戻され 明らかとなったのは、この女性は人を殺してきた後なんだってこと…!!

(ここで冒頭の伏線が回収される面白さ…!!!!)
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浴槽に監禁された男にキスをして…何度も足蹴り。一体何があったんだ…

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そして草むらで踊り狂い、パトカーの赤ランプが顔を染めて…。終わり。
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何度見ても、本当に凄いMV。どういう思考回路してたら、こんな恐ろしく、それでいて美しい映像が撮れるんだ!と。まさにthe・椎名林檎ワールドって感じですよね。そんな二人のタッグは、the・新境地。この夫婦、本当に凄すぎる。

 

そして今年公開された水曜日のカンパネラ一休さん」でも、こういう刺激的発想が展開されており。

 

時間の止まったダンスホールで出会う男女。
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そして男が指名手配された爆弾魔であるという情報が視聴者に提供され…
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二人は手を繋ぎ逃走。からのビル大爆発!!
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うーん。怖すぎる。でも、ビジュアル的に美しすぎる。ていうか、「一休さん」ってタイトル聞いてこんな映像作るって、発想が神すぎると思うんですが。この、児玉作品の中でも過去の色々な要素が入った集大成とも言えるMV。刺激的です。

 

こんな感じで、児玉裕一さんの撮るMVはどれも異なる要素が入ってきて年々進化していくのです。今後の監督作品にも期待していきたいものですね。

 

※補足

今回挙げたMVは全部 個人的に最も好みな作品だけを挙げてしまいましたが、他にも監督作品にスネオヘアーRADWIMPS、DAOKOとか本当に凄いのが色々あるので、解説が足りてない部分はWikipediaで補って頂けたらと思います。(笑)

アルバムレビュー・竹原ピストル「PEACE OUT」〜求めていた音楽がここにあった

2ヶ月ぶりの更新。本作を聴いていて、言いたいことが次々に出てきたので、ザーッと書いていこうと思います…!

今回スポットを当てたい作品は、竹原ピストルさんのニューアルバム「PEACE OUT」。今年4月5日にリリースされたばかりの注目作です。

この方の曲をちゃんと聴こうと思ったきっかけは、1月クール 毎週楽しく見ていたテレ東の深夜ドラマ「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」で主題歌となっていた「Forever Young」を聴いていて、好きなドラマ主題歌の音源は基本ちゃんとCDを入手して聴きたいと思ってたのでレンタルで借りて聴いた、という極単純なもので、それはそれは些細なきっかけでした。が、実際にこの作品を聴いてみたら、想像を遥かに上回る興奮と感動が待っており(…って端的に言い表してしまうのも惜しいくらい)、泣けてきて仕方がなくて、もう色々な感想が混ざりあって頭が竹原さんのことでいっぱいになって、初聴きたった1日目で ”一生愛し続けたい!!”と感じるほどの歌声と音楽と、竹原さんの素晴らしい人間性がそこにはあったのでした。


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①ドサ回り数え歌

ドサ回り」、とは芸能人などが地方を巡業することを意味するらしいですが、この曲では竹原さんが全国各地を回ってライブをする時の想いを綴った1曲であり、実際ライブではお馴染みの曲だそう。今作ではそんな中で既に披露されてきた曲が未音源となっていて お客さんから音源化を希望されていたものが多いらしく、この曲もその中の1つであるらしいです。というのは今回ちゃんと調べるまで知らなかったのですが、なんだか初めてこの方の音楽に触れる自分でも、温かな愛が間近に伝わってきて、とても幸せな気持ちになるんですよね。

 弦、切れて 縁、切れて でも元気でね

嗚呼、ドサ回り 数え歌

一見さんから常連さんまで元気でね

嗚呼、ドサ回り 数え歌

このアルバムのタイトル「PEACE OUT」は米俗語で「じゃあな」「また後で会おう」という意味だそうですが、そんなテーマに沿った 始まりに相応しい1曲となっていると思います。

 

②虹は待つな 橋をかけろ

明るくて男らしくて、聴いてるだけで元気が出てくる1曲。この時点でもう、すぐにこのアルバムの世界観 (かつ”ピストルワールド”)にグッと引き込まれましたね。"一見さん"の立場で聴いても"常連さん"の立場で聴いても、きっとこの 温かみに溢れたメロディ、歌声には聴き入ってしまうというか、すっごく良い入り口になっているように思います。

なんだろう……愛おしくて、とにかくカッコいい!! 

夕日の輝きを見つめながらこの曲を聴けば、必ず、明日への強い活力となることでしょう。

虹は待つな 橋をかけろ

例え汚すことになろうとも

その涙に橋をかけろ

虹は待つな 橋をかけろ

 

③一枝拝借 どこに生けるあてもなく

前曲に引き続き ギターの音と歌声が沁みる1曲。ここまで来て、もう完全に竹原さんのこの歌声に惚れてましたね。そして、歌詞にも注目して聴いてみるのですが、

これっぽっちもお呼びでない春雨が

これっぽっちもお呼びでないのは人ばかり

当の桜は滲んだ昼下がりの片隅

紅い唇の端をニヤリとめくりあげている

一枝拝借 どこに生けるあてもなく

”春”と”桜”をテーマに、どこかやるせない気持ちを表現している楽曲、という風に受け取ることが出来ますが、なんだか凄い…!! ビックリしました。洒落てて、かつ愛を感じるような、たくさんの魅力に溢れている…! 一体、どういうものからインスピレーションを受けて、こういう詩をお書きになるのでしょう。竹原さん。日本のボブディランなんじゃないでしょうか。

 

④ママさんそう言った ~Hokkaido days~

この曲では、竹原さんがかつて北海道でお世話になったスナックのママさんとのやりとりを回想し 感謝の気持ち等が表現されておりますが、なんとこの曲、ラップをメインにストーリーが進みます。

「ママさん、どこのどいつでも構わねーから、今日もどこのどいつかの前に10分だけくれよ。」
俺の特攻はもはや野放しの状態。
小うるせぇママさんも眉間に皺を寄せて了解。

「勝手にやんな」って
ママさんそう言った

「ただし必ずやっつけろ」って
ママさんそう言った

「おまえさんならやれるだろ」って
ママさんそう言った

「さぁ、ノックアウトしといで」って
ママさんそう言った

前知識ナシで聴いていたので知らなかったのですが、竹原さん、ラップ(または”語り”)という表現方法も含めて音楽を発信してこられてる方なんですね。前の3曲からはこれが想像出来ず、ここでさらに強い衝撃を受けることとなりました。

過去にボクシングをやられていた竹原さんだからこそ書ける、スポ根漫画さながらの迫力あるリリックと、竹原さん自身が体験した人生の記録…聴いていてどんどん引き込まれます。フォークやロックに精通している方だと思えばヒップホップの要素もある、この多彩さ。これは、こういった アルバムを(またはライブ等を通じた音楽体験にて)ちゃんと聴こう、知ろう、と思ったリスナーにしか伝わらない一面ですよね。やっぱり少しでも興味のある歌手は アルバムって聴いてみるもんだな、と思いました!

(↑昨年投稿された竹原さんのブログ記事。実際にお世話になった店のことと この歌の歌詞が綴られています。聴きながらこれを読むと なお、曲の世界観が濃く伝わってきて良いですね。)

 

⑤ぐるぐる

ぐるぐる

ぐるぐる

この曲は、かつて竹原さんが所属していたフォークバンド・野狐禅(ヤコゼン)の活動時に作られた曲らしいのですが。

ほんとに…!! この歌声が…!!

好きすぎる…!!!!!

なんかもう、5曲目にして 愛が抑えきれないレベルに達しました(笑)。

涙があふれて 涙がこぼれ落ちそうになって ガムテープで顔面をぐるぐるにする

涙は感情の墓場だぜ 

ガムテープで顔面をぐるぐるにする

グッときますな〜〜。ハーモニカ吹き始めるところとか、めちゃくちゃカッコいい。この歌声をずっと聴いていたい!! って、そう思わせてくれる1曲。個人的に、これまでフォーク系統の音楽とか全然聴いてこなくて知識もほぼ皆無なだけに、より衝撃度が強いんですよね。本当に、生まれて始めてハマったフォーク音楽だと思います。故の親近感。

何か、こんなにやるせなさと悲哀に塗れているのに、どこかに希望を感じてしまうような、この力強い歌声は、人生経験が豊富な竹原さんならではなのでしょうか?  竹原さんは一体今まで、どんな人生を歩んできたのでしょう? 。…聴けば聴くほど興味が沸いて沸いて仕方がないので、どんどん次の曲が聴きたくなります。

 

⑥一等賞

一等賞

一等賞

こちらは、前の曲とはうってかわって、穏やかな雰囲気に包まれた温かみのある楽曲。

僕は目を覚まし 朝焼けはまだ寝ぼけてる

誰より先に踏み出して影より長く呼吸をする

道を逸れるなんてそんなの誰にだってできるじゃないか

僕はこの道の中にこそ道を見いだしてみたいんだ

まるで、暗かった心の中に、少しずつ光が差していくような感覚。

う〜ん痺れる…! 本当に、元気が出てきますな〜。これ、前の曲と同じ人が作ってるんですよ!? 。曲ごとのギャップがハンパじゃない!! 竹原さん、一体どこまで多彩なんですか。良い意味で 打ちのめされっぱなしですよ。曲が進むごとに 聴いてて様々な思いが増え続ける一方。

このアルバム、まさに疾風怒涛。

 

⑦ ため息さかさにくわえて風来坊

低いギターの音と打楽器のドン!ドン!という音から始まり、開始数秒で曲の世界に引き込まれ、デジタル感も含んだ音が気持ちを加速させます。こうしてアルバムとしての「竹原ピストル」を聴いてると、テレビとか見る”弾き語りスタイル”とは異なった多種多様な魅力が溢れているのが、改めてよく分かりますよね。どんな曲も歌いこなすカッコよさ!素晴らしい。まさに「風来坊が駆けていく」という情景が目に浮かぶような、ワクワクされられる絶妙なサウンド旅の途中で気分たっぷりに聴いてみたい。

どこへ行く?どこへ行く?どこへ行くったらどこへ行く?

風来坊 風来坊 風来坊ったら風来坊

ため息さかさにくわえて風来坊

 

⑧最期の一手 ~聖の青春~

'16年 映画化もされ話題となった作品「聖の青春」ですが、竹原さんはその 実在の 天才将棋棋士 故・村山聖 九段にインスピレーションを受けてこの楽曲を制作したのだと思います。

生きて 生きて たどりついた 最期の一手
一手 一手 たどりついた 最期の一手

この曲ではストリングスの演奏も特に印象深く、奥が深い曲の世界観に、少しずつ落ちていきます。「生きて 生きて」。「一手 一手」。その簡潔で力強い歌詞が、とにかくグッとくるんですよね。

 

⑨ただ己が影を真似て

ピアノと歌だけで構成されたシンプルな楽曲ですが、これによって ここで、竹原さんの作る歌詞、歌声の素晴らしさだけでなく、メロディーも本当に魅力に溢れているんだ、ということを更にはっきりと感じさせられます。

こんな風にしか歩いていけないことを恥じてたいつかがあった
こんな風になら歩いていけると安堵しはじめたいつかがあった
目指さなければ迷わねえさ
ただ己が影を真似てつまづくだけさ

泣けてくる…。

毎晩寝る前に、1人静かに聴きたいですね。もう、歌声にもメロディにも究極 引き込まれ、もはや この歌詞を書いていた時の竹原さんの心情が、手に取るように伝わってくるよう。こういう曲を聴いて、深く深く音楽の世界に潜っていきたい。泣きたい時は思いっきり泣きたい。

 なんだかアルバムを聴いてる時って、いま聴いてる歌手が自分だけのためにライブを開いて歌ってくれてる感じがしてくるんですよね。この曲ではそのようなものが特に強く感じられてグッとくるんです。竹原さんと自分だけが存在する世界での3分間、みたいな。そういう瞬間に巡り会えるから、やっぱり音楽を聴くのって、本当に楽しいです。

 

⑩例えばヒロ、お前がそうだったように

アルバムの中でズバ抜けて好きな1曲がある時、その曲を大々的にフィーチャーして それだけで一つの記事にしたいくらいな時があるのですけれど、これがまさにそんな曲。

語り手が(恐らく実話なので竹原さん自身が)、自殺した もう永遠に言葉を交わすことが出来ない 「ヒロ」という1人の友人に向かって、溢れだす想いをぶつけていく歌であり、歌、というよりは、これこそモロに「語り」というか、でも、やはり上手く言い表すことが出来ない、この音楽。竹原さんはそんなリスナーの気持ちに応えて、

これは歌なんかじゃない。
ぐずぐずぐずついたかさぶただよ。

と言う。声が駆け、音が駆け、一字一句逃さず言葉が入ってきて沁みてきて揺さぶられ打ちのめされ、曲が終わって音楽プレーヤーのカウンターを見るたびに、「この曲7分半もあったの!? いまそんな経った!?」と驚く。時の流れも忘れるほどに、一秒残らず曲の世界に引き込まれる…視聴の感覚としては、そういうものなんですよね。

竹原さんは、”睡眠薬たらふく食らって 勝手にくたばりやがった”「ヒロ」に向かって叫ぶ。そして、現代社会、疲れる毎日、不安に塗れた毎日、あやふやな日常の中を生きる僕らに向かって、魂ごと掴んでグラグラと揺さぶって、竹原さんはこう言う。

生きたいとか、死にたいとか。

そんなことはときに、あくまでときに、どっちでもいいような気がするんだ。

そんなことより、生きたいなら生きたいなりに、死にたいなら死にたいなりに、

ちゃんと人間か?

ちゃんと人間か?

目が眩むほど、真っ赤に真っ赤に

ちゃんと人間か?

聴いてて、涙が出てきました。誰かに、ずっと、そう問いかけてほしかった気がして。なんだか、言い表しようのない世界の道理や概念が、この曲には全て収まっている、そう感じました。僕が日々の中で求めていた音楽は、ここにあったのだな、と。

そして この曲を聴き終えて 改めて色々な思いを頭の中で巡らせていると、もう心臓がバクバクしていて、なんか、凄いものを聴いてしまった…!!という興奮に満たされるのです。2017年、確実に 僕の中で最も衝撃を受けた楽曲だと思います。

 

⑪Forever Young

このアルバムを山と例えて「例えばヒロ、お前がそうだったように」を頂上地点とするならば、ここから後は下りの段階でしょう。そんな中で、今回のリード曲となるこの曲をこの部分に持ってくるんだ!?という、なんという絶妙なポゼッション。初聴きのリスナーにも特に認知度が高いであろう重要なこの曲まで、1ミリも飽きさせない多彩な魅力を以てここまで持っていくとは、なんというテクニシャン。

前述した通りこの曲はドラマ「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」の主題歌で、ドラマとリンクしたPVでは 出演者の俳優さんの方々を前にして静かに語りかけるように歌っているシーンが見られ それがめちゃくちゃ印象的だったので個人的にはそのイメージが強くなっていますが、曲から伝わってくる熱さとして本当に、老若男女 どんな人にも響くような力強さがあり、この曲も泣けてきますよね。。名曲です…!

(↑PV撮影後のツイート。ここ数ヶ月の歌番組での佇まいとかを見てて思いましたが、竹原さんって本当に腰が低いんですよね。そういうところが好きなんです。)

くだびれた言葉で 新しい約束を交わし

萎れた声で 新しい歌をうたおう

満ち満ちた若葉はいつだって

色褪せた枯葉の上にひらくのさ

 

⑫俺たちはまた旅に出た

今回一番新しく制作した曲らしく、新たな世界へと船を漕ぎ出すような、そんな志が感じられる1曲。伊藤忠商事のCMソングに起用されています。(←この曲がテレビから流れるたびにめちゃくちゃ気分が高揚するようになりました。笑)

俺たちはまた旅に出た

良い兆しなんてこれっぽっちもなかったからここまで来れたんだし

俺たちはまた旅に出た

良い兆しなんてこれっぽっちもないから これからも行くんだよ

竹原さん自身 今年からライブをするお店との完全なブッキングをやめて1人新たな道へ歩み出す、という決意の籠った歌でもあるらしいですが、これを聴いているリスナーにも「これからも頑張ろうぜ!」というメッセージが込められてると思うし、聴いてて本当に元気が出てきます。

 

⑬マスター、ポーグスかけてくれ

「ポーグス」とは、80年代に活躍したイギリスのロックバンド・The Poguesのことを指すそうで。4曲目の「ママさんそう言った ~Hokkaido days~」同様、かつてお世話になった店のマスターとのやりとりを回想し感謝の気持ちを表現している楽曲だと思われますが、この曲は今までのどの曲よりも幸福な雰囲気に溢れ、正真正銘 アルバムの〆(シメ)に相応しいものとなっている気がします。

てことでそんな曲に登場するポーグスの代表曲と言われるものがこちら。♪アイリッシュ・ローバー

なんとも陽気な雰囲気。「マスター、ポーグスをかけてくれ」自体 この曲に影響されて制作されたのかもしれませんね。

いやはや、曲のルーツを探りながら聴く音楽って、楽しいですなぁ。

 

初めて竹原ピストルを聴く方には「まずこれを聴いてください、これが僕の歌です」と言えるアルバムなので、たくさんの人に聴いてほしいです。さらにここから過去のアルバムをさかのぼったら自分がどれだけブレブレの人間かがわかると思うので、そういうところもちゃんと見抜いてほしいです(笑)。

 

(インタビュー「竹原ピストル 不惑にして“惑えず”歌うたいの覚悟」 音楽ナタリー 2017年4月5日 より)

 

人は、毎日悩みや不安や色々とあるものの、日々どこかで、色んな人の作る音楽にお世話になって、それが心の支えとなって、今いる暗い世界から明るい世界に連れ出されて、笑顔になって、生きていく。そういう毎日を体験し、繰り返す人間というものを竹原さんは分かってて、きっと竹原さん自身もそれは同じで色々なものを抱えて生きてて、それゆえ音楽を愛して、力強く歌い、自らの音楽を発信するのかもしれないし…と、聴きながらそんなことを考えていると、このアルバム「PEACE OUT」及び 竹原さんが作る音楽って凄いパワーを秘めてるんだなぁと、改めて思います。とにかくこのアルバムは本当に色々なものが詰まってて、”人生”を感じる1作ですね。是非ご一聴ください…!

アルバムレビュー・桑田佳祐「Keisuke Kuwata」~稀代のエンターテイナーが魅せる!! 芸術的ポップミュージックの世界。【祝・ソロデビュー30周年!!】

今年 桑田佳祐さんはソロデビュー30周年!ということで、少し早いですが おめでとうの気持ちを込めて、大好きなアルバム「Keisuke Kuwata」の感想を書いてみようと思います。

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桑田佳祐Keisuke Kuwata」は、1988年7月9日にリリースされた桑田さんのソロデビューアルバム。小林武史が全面的にプロデュースを担当しており、その胸踊るような天才同士のコラボレーションと当時独特のバブルサウンドには本当に大興奮必至。


①哀しみのプリズナ
ギターの音が爽やかに響くイントロ。出だしの歌詞は「さぁ 部屋中を暗くしてくれ」だけど、どう聞いても、「sad hey jude a crash end claim~♪」みたいなことを言ってる英語に聞こえる。開始数秒で、「日本語の歌詞も英語っぽく聞かせるロマンの歌声」という桑田さん持ち前のパワーが耳にガーンとくる。この巧みさ...恐るべし。あと、この頃の音楽によく使われてた「ドゥドゥドゥドゥン↓↓!!」って打楽器の音が心地良すぎる。男の悲痛な叫びをぶつけたようなラブソングで…痺れますね。ソロデビューアルバムの一曲目がこれ...勢いの凄まじさに驚嘆。

哀しみのプリズナー

哀しみのプリズナー


②今でも君を愛してる
ベストアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」に収録されているので、なんとなくシングル曲よりもシングル感の強い一曲。神々しいコーラスの歌声とサックスのメロディが混ざり合い、切なさを加速させる。曲がジワジワと盛り上がっていく感じは、小林武史プロデュースの音楽として最大の魅力な気がする。80年代邦楽ならではの良さが光ってる。

今でも君を愛してる

今でも君を愛してる


③路傍の家にて
THE・異色サウンドの一曲で、才能が感じられすぎて脳が捩れそう。特に副旋律のメロディが素晴らしすぎて、明るめのメジャーコード進行ではあるはずなのに、この、どことなく漂う「奇妙さ」は何!?ってなる。「はかなき世に願う チャンス到来」と「さもしい小屋の並ぶ 天下往来」とか、「歯止めのない守備は 万事醜態」と「あてなき世の策は バンス膨大」とか、語呂の良さがもはやラップの域に達している。

路傍の家にて

路傍の家にて


Dear Boys
桑田さんが自分の息子たちに向けて歌った曲らしいけど、子供に聴かせる歌にしては曲調が暗くて どこか切なさに溢れているのが印象的。「道におちた まるい影 愛しすぎる」って部分、聴いてるリスナーからしたら そんな歌詞を書いてしまう桑田さん自体が「愛しすぎる」って感じ。去年の「百万本の赤い薔薇」とか「ヨシ子さん」然り、誰かに尊敬の念や愛を込めて曲作りをするという姿勢は、今も昔も変わらないようで。本当に素晴らしいです。

Dear Boys

Dear Boys


⑤ハートに無礼美人 (Get out of my Chevvy)
管楽器の音がキレッキレに響くジャズ風の一曲。このサウンドはもう、これでこそバブルの音楽だ!!って雰囲気を感じさせて気分上がりっぱなし。
TOKIO の空が白み始めて どこかの小部屋で Morning Shower」からの盛り上がりは特に、体を揺らさずには聴けない。「時刻は SEVEN 君と EVEN 見たい HEAVEN」という歌詞があるので、七時に聴くと良いことあるかも?


⑥いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
JALのCMソングとなった2ndシングル。「いつかどこかで 夏はまたくる」という歌詞から分かる通り夏の終わりがテーマの曲だけど、自分がこの曲を初めて聴いた時期もタイムリーなことに夏の終わりだったため、より一層 心に沁みる一曲となった。「今でも逢いたい 気持ちでいっぱい そんな惨めな恋などしたくない」...グッとくるものがある。


⑦Big Blonde Boy
個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲。ひっきりなしに聞こえる打楽器の音×獣のような激しいサックスのメロディー×響く電子サウンドで、宇宙空間の彼方へと誘われる感覚。「愛のカンガルーみたいな芸人特有の魔法で 8分音符の彼方に いつかまた逢いにくるよ」などと、歌詞の芸術性の高さは桑田作品の中でもピカイチ。

Big Blonde Boy

Big Blonde Boy


⑧Blue ~こんな夜には踊れない
心地良いダンサブルな曲調で、初聴きの時から変わらず激烈にお気に入りな一曲。和風なカッコよさ(男らしさ)と洋風なカッコよさ(英語歌詞の堪能さ)が混ざり合ってて、もはや魅力の塊だと思う。当時「ラッフルズ・ホテル」という映画の主題歌になったらしいけど、こんなカッコいい曲が見てる映画のエンディングで流れてくるって、想像するだけで最高。


⑨遠い街角 (The wanderin' street)
富士フィルムのCMソングとなった優しいミディアムナンバー。「また逢うことを信じてもあの場所には帰れない」と、過ぎ去ってしまった時間を悔いる切なさがテーマの曲だけど、サビの部分はどこか明るく希望が感じられる。
桑田さんの曲はいつも、歌詞から読み取れる曲のテーマは暗くても 曲調は明るいというのが特徴的なものが多く、僕は桑田さんのそういうところが大好きです。あと、Wikiによるとコーラスに竹内まりやさんが参加してるらしいけど、今まで全然知らなかった。もう一度ちゃんと聴いてみよう。


⑩悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
メジャーデビューシングルをアルバムの終わりから三曲目に入れてくるというセンス、ポップアルバムとしてベストを尽くしすぎてて、もうその事実の時点で震える。25周年記念ライブ「I LOVE YOU -now & forever-」では一曲目に披露され、以降 老若男女が盛り上がれる夏の名曲として定着した(、イメージ)。イントロの開始数秒だけで「キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー」→「キャー ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 キャー」→「キャ-♪~~(/≧∇)/\(∇≦\)~~キャ-♪」ってなりますね。(←もはや語彙力さえ喪失する)。あと、出だしの歌声が一瞬 山下達郎さんっぽく聞こえて「あれッ!!なんか声が...若い!!」ってなる。


⑪愛撫と殺意の交差点
ここまで来て、今までのどれとも被らないようなもっと濃い異色曲をバーンとぶつけてくるという。このアルバムはトコトン平凡じゃねぇぜ!!っていう意地というか、製作意欲がガンガンに伝わってくる一曲。政治を風刺するというテーマに、「誰かが降らせた光で 雨のち涙の気象台」という歌詞...お洒落すぎる。そして有名な情報だけど、終盤には「オーライ!!」という桑田さんの息子の声が収録されているという更なるお洒落さがあり、とっても音楽に対する拘りと愛を感じられる。最近はもうその声を聴きたいがためにこの曲を再生するようになった。

愛撫と殺意の交差点

愛撫と殺意の交差点


⑫誰かの風の跡
桑田さんの作るアルバムのラストはバラード曲というのはほとんど変わらずブレない事実であり、このアルバムでも王道なバラードがラストを飾る。が、一概にそう解説してしまうのは全く面白みがないと思えるほど、この曲は桑田作品の中でスバ抜けた名曲である。夏と青春の日々を回想するような歌詞が胸にジーンと沁みると同時に、人の心を静める「鎮魂歌」的ニュアンスを含む曲なのだなと思った。聴いた後の余韻からはなかなか抜けられませんね。

誰かの風の跡

誰かの風の跡


ということで、このアルバムの感想をちゃんと書いてみて思ったのは、やはり桑田さんの作るポップアルバムは日本一魅力的だということと、どんな曲も作れちゃうオールマイティーな才能があって それが名プロデューサーとのコラボレーションともなると更に凄い作品が出来上がってしまい、桑田ワークスの可能性は無限大ということですね!!
前述した通り 今年デビュー30周年を迎える桑田さんですが、そんな記念年の幕開けは4月スタートの朝ドラ「ひよっこ」の主題歌から。それに期待すると共に、今年出すかもしれない6年ぶりのソロオリジナルアルバムにてどんな音楽が展開されるのか...今後もワクワクが止まらない!!

私の音楽遍歴 ~NO MUSIC NO LIFE!

ちょうど半年前(去年10月半ば)になりますが、Twitterでお世話になっている方・宇宙ネコさん(@sibuyandam)が企画されていた「私の音楽遍歴 NO MUSIC NO LIFE」というものに遅ればせながら参加させていただきます。ずっと前から「音楽好きとしてはいつかちゃんと自分の音楽遍歴くらいは書いておきたいな~」と思ってたので、なんとも丁度いい企画。 そんな訳で今回は、僕が今までに生きてきて衝撃を受けた、色んな音楽を好んで聴くきっかけになったスタート地点的9曲を、出会った時系列順に語っていきたいと思います。

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幼少期。人生で最初に好きになった音楽の記憶。

MISIA「Everything」

Everything

Everything

僕の一番古い音楽の記憶はこちら、MISIAの「Everything」。リアルタイムで聞けてた気がするから、いつの曲だったっけ?って思って調べたら、リリースは2000年なんですね!わたくし当時2歳。その年齢でしっかり記憶に残ってるってことは、相当に流行ってたんだろうなぁ。まぁロングヒットだっただろうし、2000年に限らずとも よく色んなところでかかってた気はするけど。

記憶が曖昧なんだけど、昔スマスマのコントでよく使われてませんでしたっけ。ネットで検索かけても一切データが残ってないのでちょっとアレ?って感じだけど。この曲を覚えたのは、そのコーナーがきっかけだったりします。何よりメロディーが凄く頭に残るんですよね。後にカップヌードルのCMで替え歌が作られてたのも印象的でした。


小3。衝撃的テクノポップユニットとの出会い。

Perfumeポリリズム

ポリリズム

ポリリズム

  • Perfume
  • エレクトロニック
  • ¥250

今でも大ファンである大好きなグループ・Perfumeですが、この人たちを初めて認識したのはちょうど10年前、ACとNHKのコラボCMに出演していたのを見たのがきっかけでした。

このCMを見た時点ではまだ「ふーん、こんなグループがいるんだー」くらいにしか思わなかったけど、紅白で歌ってたのでちゃんと聞いてみた時に、「えっ、この曲スゴいな。面白いな。」ってなりまして、小3ながら結構 驚きましたね。今考えてもホントに複雑で面白い曲だったよな~って思うし、こういう凝ったマニア向けっぽい曲が Perfume史上最大のヒット曲になったっていうのが実に興味深い。

Perfumeは後に「ひみつの嵐ちゃん」とかバラエティーによく出てわちゃわちゃ3人で喋ってる姿を見て心引かれて、年々 好き度が深まっていった記憶。(「嵐∞Perfumeです!!」って回とかめっちゃ好きで、録画して何回も見てた)。振り返ればいつもどこかに3人がいて、心の癒しになってたなぁと思います。


2009年・冬。ドラマを好きになるきっかけとなった、印象深い一曲。

かりゆし58「さよなら」

さよなら

さよなら

松山ケンイチ主演のドラマ「銭ゲバ」の主題歌となった、かりゆし58「さよなら」。これを見たのをきっかけに「ドラマと音楽を同時に楽しむ」という概念が自分の中に生まれ、「主題歌」というものを強く意識するようになり、と同時にドラマを見るのが大好きになりました。曲自体に深い思い入れがある訳ではないのだけど、そういう意味ではとても貴重な音楽体験だな〜と思います。

ていうかこのドラマ、本当に怖かったなぁ...。一つ一つのシーンが頭に焼き付いて離れないくらいにエグい内容で、小学生にも人気のあった土曜9時枠のドラマとしてはかなり異彩を放っていた作品でしたね。当時、一人テレビに釘付けになって見てまして。色々な意味で、とても印象に残ってます。(汗)


小5の夏。初めてCDを手に取り、音楽を進んで聴くようになる。

④嵐「Everything」

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同世代(98〜00年組)の方なら分かると思いますが、2009年、学校などで空前の嵐ブームが起きました。3月、映画「ヤッターマン」の主題歌となった「Believe」→5月、ドラマ「ザ・クイズショウ」の主題歌となった「明日の記憶」と、ジワジワとクラスの間で話題になり始め、夏のベストアルバム「All the BEST! 1999-2009」がリリースされる頃にはクラスのほとんど全員が嵐に夢中でしたね。CDを学校に持ってきて見せ合ったり、友人と貸し借りなんかもして。良い時代だったなぁ...。

そんな盛り上がりの中でリリースされたシングルが「Everything」でした。これが本当に素晴らしい楽曲でしてね。CDを手に取って音楽を聴くという楽しさを、この時初めて覚えました。この曲をエンドレスリピートしながら うたた寝してた夏休み。「この夕立の中で一人 振り返り立ち止まることもあるけど 何も恐れはしない」という歌詞は、今聴いても本当に勇気づけられます。イントロのメロディーをなんとなく口ずさんでみるだけで、ふっとあの頃の風の感じとか、心地良さが蘇ってくるんですよね~。


中学校時代、好きになった音楽。

椎名林檎自由へ道連れ

自由へ道連れ

自由へ道連れ

中学校時代は部活にどっぷりで 趣味といえば空き時間の読書くらいしかなかった中、唯一ちゃんと耳に入ってきて好きになった音楽、それがこの、椎名林檎さんの「自由へ道連れ」でした。中居くんのドラマ「ATARU」の主題歌となった爽快ロックチューン。とにかくメロディーが耳に残るし、シンプルにカッコいい曲だな~と当時かなり衝撃を受けましたね。

その後 林檎さんは2013年 中田ヤスタカとコラボした「熱愛発覚中」、2014年 NHKサッカーのテーマソングとなった「NIPPON」、2015年 コカ・コーラのCMソングとなった「長く短い祭」と 毎年何かしら、日本の音楽シーンに大きな爪痕を残すような衝撃性の高い楽曲を発表しており、もう注目するしかない!女性ソロアーティストNO.1としてずっと君臨し続けております。


2013年・大晦日。近未来的オルタナティブロックバンドとの出会い。

サカナクション「ミュージック」

ミュージック

ミュージック

2013年の紅白歌合戦、突如 画面に現れた、目映いライトの中でパソコンを前に美しい音楽を奏でる5人組。「なんだこの人達...カッコいい...」と思わずテレビを凝視する...。その時 披露されていた曲がこの「ミュージック」であり、僕とサカナクションとの出会いはこんな感じでした。とにかく新しくて、近未来だなこのバンド!という衝撃。凄かったですね。

高校に入ってから、嫌なことがあった時、不安な時、とにかくずっと聴いてた音楽がサカナクションでしたね。いずれも今となっては良い思い出です。


2014年・春。人生を変える歌手に出会う。

ケツメイシ「トレイン」

トレイン

トレイン

中学を卒業してスマホを所持させてもらえることになり、それからYouTubeで色々と聴いてみたり調べたりするようになって。(Twitterを始めたのもこの頃)。この時から好きになる音楽は基本 後追いになり やがて現在の音楽マニア生活に至る訳ですが、その記念すべきスタートラインとなったのがこの曲、ケツメイシの「トレイン」でした。

最初は「しばらくこれといって音楽にハマってなかったし、なんか好きになれるものが増えて趣味になるんならそれでいいかな。」くらいの気持ちだったのですが、段々 自分でも驚くくらいにケツメイシのことが好きになっていきまして。アルバムを数週間で一気に借りて聴いて、音楽性の高さに驚いたり歌詞に勇気づけられたりして、そんな中 2014年の夏にリリースされたシングル「RHYTHM OF THE SUN」を即購入。これが、僕が人生で初めて購入したCDとなりました。

楽しい時間も辛い時間も いつもそばにはケツメイシがいて、心に寄り添ってくれました。その愛や感謝は本当に語り尽くせませんね...。特に「トレイン」は本当に素晴らしい楽曲で、個人的 人生の名曲ランキング ダントツの1位となっています。


2015年。時代を彩るエンターテイナーに出会う。

星野源地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い

年末年始はのんびりできる時間が多いので ネットで色々と調べて好きな音楽が見つかるという確率がかなり高いんですが、源さんもそういうタイミングで出会いました。YouTubeで偶然 再生した曲「地獄でなぜ悪い」。この曲の展開とか歌の迫力とか演奏のカッコよさが気になって、凄い歌手がいるもんだな~って思って、とりあえず現時点での最新作を借りてこようってなって「Crazy Crazy/桜の森」を聴いて完全にハマりましたね。

その後 新曲を発表するっていうのを聞いて、リアルタイムで星野源の音楽に触れられた初めての曲が「SUN」で、「なんか今までの曲に比べるとかなりシンプルというか、路線変更な感じするけど、どうなのかな?でもなんか良い感じ...」とか思ってたら各方面でどんどんヒットし始めて、年末にアルバムが出たときにそれが「イエローミュージック」というジャンルの音楽を作って開拓しているんだということが分かり、そして昨年の「恋」の大ヒット。その名が全国区で売れるヒット前夜から現在の全盛期までの様子を時間の流れと共に過ごせるという、音楽遍歴の中でもかなり貴重な体験となり 印象的でした。


高2の夏。ずっと愛し続けたい歌手に出会う。

桑田佳祐波乗りジョニー

波乗りジョニー

波乗りジョニー

高2の時期は僕にとっての転換期でした。毎日が様々な悩みの窮地に陥って雁字搦めになってしまい、どう生きていったらいいか本当に分からない、どうしたら……そう感じていた時、偶然出会ったのが桑田佳祐さんの「波乗りジョニー」でした。桑田さん(およびサザン)の音楽は僕に生きる勇気を与え、今までの人生で最大の衝撃と感動をくれました。

そして何よりの財産となったのが、桑田さんのことを応援するファンの方々とTwitterで出会えたことでした。誠実で腰が低くてあったかくて どんな人にも気配りを忘れない、そんな精神の桑田さんが作る「音楽の輪」はどこまでも広く果てしなくて、楽しくて、日々 色々な人と「架空の広場」で繋がれるようになりました。そうして出会えた方達は、まさに"人生の宝"と言っても過言ではないものとなりましたね。


今後はどういった音楽を聞いていきたいか。
今後は脱・ミーハーという感じで自分が今まで知らなかった歌手の曲も聴いていきたいですね。あと洋楽にもハマりたいです。(とか言いつつしばらくはミーハーかもしれないけど。笑)
音楽を聴くことこそ生きる喜び。これからも思いっきり色んな音楽にお世話になって、元気をチャージしていきたいです!

アルバムレビュー・椎名林檎「加爾基 精液 栗ノ花」〜美しき和と闇の“林檎的文学”を紐解く

久々の記事更新。何を書こうか色々と迷ったんだけど、やっぱり好きな歌手のアルバムレビューを書きたいなということで、今回は椎名林檎さんの「加爾基 精液 栗ノ花」(カルキ ザーメン クリノハナ)について語ってみたいと思います!

が。皆さん、このアルバムがどんな感じのものか知ってますか??
普段とても気になってるんです。このアルバムはどの位の人にどの位の頻度で聴かれてて、一般的にどんな解釈が成されてるのか、なんて。
僕はこのアルバムを聴いたのをきっかけに林檎さんの音楽にどっぷりハマり、以来ずっと勝手な解釈と主観的な感想を抱きながらこの作品を愛聴してきたけど、そういえばあまりこのアルバムの感想って誰かとシェアしたりとかしたことなかったな〜と思って。というか、シェアし辛いよねこれは。はっきり言って、とっても「謎すぎる名盤」なんですよね。てな訳で、今一度このアルバムの素晴らしさを伝えていきたいといいますか、同じことを考えてる方がいたら一緒に語ろうぜ?的なことを思ってます。とにかく、この「加爾基 精液 栗ノ花」という作品はなんだったのか、自分の頭の中も整理して一区切りつけたいところだし。良かったらお読み下さい。

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で、まずタイトルなんだけど。凄くないですかこれ。声に出して言うのとか大分 躊躇われるんですけど。「精液の匂いは栗の花っぽい匂いである。」っていうのと「カルキっぽい匂いである。」っていうのを端的に三単語 抽出して、そのままアルバムのタイトルに付けてしまうという。ある意味この上なくロックなことしてますもんね。
…なんてリスナーにやいのやいの言われるのを林檎さんは百も承知で、こうコメントを残している。

「みなさん驚かれますよね(笑)。でも、これって頭文字も“ ksk”ってシンメトリーになっていてきれいだと思うんですけどねぇ。まったく先入観なく見たら、きれいだと思うんですよ。もちろん、文字面としてだけでなく、意味合いとしても美しいと私は思ってる。それを得なければ女性は子供を作れないということを考えれば“精液“という言葉が忌まわしいものとは絶対に思えないし、それは屈辱みたいなイメージとはまったく結びつかないんじゃないですか?むしろ、とても神聖なもの。」
(出典:Weekly『ぴあ』2003年2月24日)

…確かに、そう説明されるととても納得がいきますよね。まぁ、納得というよりは、林檎さんらしくて良いなぁと思う。
(でもさすがにテレビで“精液”って言葉を使うのはまずかったのか、プロモーションCMでは「椎名林檎 三作目 自作アルバム」となっている。…当たり前か。)

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そんなこちらの作品ですが、調べたところによると、林檎さんの音楽活動において重要な、ターニングポイント的作品であったことが分かってきます。

まず林檎さんは2003年このアルバムのリリースから半年後、シングル「りんごのうた」を発表した後にソロ活動を停止。そこから2007年の「平成風俗」の発表まで約3年もの間、東京事変の活動のみに専念してるんです。何をもって「ソロ活動はしばらく、もういいや」という考えに至ったのか。非常に気になるところだけど、このアルバムが林檎さんの活動において、「これから方向性を変えていきたい」というきっかけになったことは間違いないと思うんですね僕は。(勝手な推測だけど)
それで注目しておきたいのが、↓こちらの動画(2004年のアルバム「教育」のプロモ番組の映像)なんだけど。(※画面をクリック→ニコ動で再生)

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4:57〜の「世間が抱く椎名林檎のイメージについて」について本人が語っているシーン。

「そういう仕事なわけだから、もちろん普段から看護婦でもないのに看護婦の格好してなんだっていうような人間では別にないし、普段から拡声器とか持ち歩いてる訳ではないので、そんなの分かりきったことなのに、家に呪文が書いてありそうとか酷いこと言われて。そういうのはちょっと…若干、憤慨いたしまして。」

↑それを言ってる間 亀田師匠は呑気にワハハハwなんて笑ってるけど、林檎さんは結構 真剣で。確かにデビュー当時からとっても奇抜なことをやってこられたし、世間から色々言われるっていうのは当たり前だったと思うしずっと堂々と色々なことをしてきたって思ってたんだけど、実は「人からどう想われてる」とか気にしてた時期があったんだなっていうのは、ちょっと意外だよね。あとネットで見た出どころの分からない情報なんだけど、後に東京事変の楽曲制作中にメンバーの伊澤一葉と意見がかなり対立して初期(〜2003)の作風をキツイ言葉で非難されつつも、それから色んな吟味を繰り返しながら彼女の作風が年々ポップな方向に変わっていったという噂も。(真偽不明)
で、途中説明が長くなったけど。そう考えるとこのアルバムは、「ターニングポイントとなった作品」と言わずしてなんと言おうか!って感じなんですよ。

それでは一曲一曲の詳細に迫っていこう。
まずは全曲を一覧にして、↓ジャン。

宗教
ドツペルゲンガー
迷彩
おだいじに
やつつけ仕事

とりこし苦労
おこのみで
意識
ポルターガイスト
葬列

先ほど『ぴあ』の引用でも出た言葉だけど、曲順が「シンメトリー」になってるんですよね。「茎」を中心にして綺麗に上下対称。林檎さんのアルバムではこの手法は割と行われてるけど、やっぱりこのアルバムが一番 完璧な「名シンメトリー」だと思う。
そして、総合収録時間はピッタリ44分44秒という縁起の悪さ全開、奇跡のゾロ目。スッゴイな。拘りがハンパじゃない。

↓全曲レビュー。↓
【 壱、宗教(伍分捌秒)】
一曲目は、「宗教」。もうこんなタイトルを聞いた時点で「なんだ…?」って不思議な好奇心と少しの不安が沸いてくるけど、実際に再生するともはや想像を絶する世界が広がっている。
開始早々、オーケストラの「ジャーーーーーン!!」という大音量のメロディに、加工ボイスで始まる「誰か僕に美味いお菓子を」〜♪という歌詞。正直言いますと、これ、めちゃくちゃ怖い(笑)。家で1人の時に聴こうとすると最初の部分でだいぶゾワッとするので、なるべく1人では聴かないようにしてます。その位の、衝動的インパクト。でも、この雰囲気がまた たまらないんですよね。やはり好奇心の方が勝つんです。怖いもの見たさ的な。独特の世界観にズブズブと入っていきたい、という。 まずこれ、何を言ってる曲なんだ?って。スペシャル級に研究のしがいのある内容なんですが。もちろん「宗教」についての曲であることに間違いないんだけど。

『「待て」「伏せ」「不可解でも崇め(あがめ)行け」「病むな」「憎むな」「見ろ」「嗅げ」「不愉快でも味わいしれ」「覚悟を決めろ」』
ってこの歌詞を見てると、何か酷く恐ろしいものに必死で立ち向かってるって状況が伺えるね。それが一体 何を意味するのだろうか…?このアルバムを聴いていけば分かるってことなのかも?


【貳、ドツペルゲンガー(參分肆拾陸秒)】
「ドツペルゲンガーといったら作家→作家といったら温泉」という発想で、温泉で歌入れをしてしまったという曲らしい。
この曲は比較的 分かりやすいね。ゴーストっぽさが追究されてて、それにプラス「晩餐会」っぽいお洒落なダンス会場っぽいのを連想できる。ほんと毎年ハロウィンには、街中でこの曲が流れないかなぁ、なんて1人で思ってます。
「楽にしてあげる」〜♪ 「取り憑いてあげる」〜♪なんて恐ろしいことを言ってるけど、若干のエロさを感じてしまうのは僕だけか?(笑)

因みにこの曲 都市伝説があって、逆再生をすると色々とヤバイものが聞こえるとか聞こえないとか。詳しく知りたい方は↓こちらのページを御覧になって?(*´-`) (林檎さん風)


【參、迷彩(參分肆拾肆秒)】
きました大名曲!後に2007年の「平成風俗」などで演奏が豪華になった素晴らしいパワーアップを遂げるんだけど、これはその進化前が聴ける貴重な音源。

ねえ一層遠く知らない街に
隠居して沈黙しませぬこと?
こんな日々には厭(あ)きたのさ
ねえどうぞ攫(さら)って行って

これは駆け落ち、ですかね。ワクワクが止まらない絶妙な歌い出し。
演奏の聴き所はスバリ、バイオリンとドラムの混ざり合い。ホントに相性バツグン。日本の音楽でこういうものが聴けるのは本当に唯一無二じゃない?ってくらいに独特な、これぞ椎名林檎の世界!とも言うべき名曲です。
実はこの曲を歌詞の通りにそのまま具象化したような物凄いPVが存在するんだけど、DVDにしか収録されてないため視聴は非常に困難である。(動画 探したけど無かった…)


【肆、おだいじに(參分壱秒)】
精神的に疲弊した人の気持ちを吐露した曲。歌詞が古文体になってるから一見難しく感じるけど、曲を聴けばすぐに 内面の深いところにある思いとか、色々な感情のうねりが伝わってくる。囁くような、優しく包み込まれるような歌声と、押し殺したような、それでいてピリピリと火花が散るようなギター音が印象的。「治癒」が目的の曲だけど、「快方」に向かってるって伝わってくるのが良いね。

手にする貴さ 出来ぬ尊さ
覚えた儘 内緒の地圖で雨の中を出掛けやう
背中を濕らすのは赤い疑念 辛い罰
憂き世に居た堪れない悲劇が溢れたとしやう
大人だから今日はまう唄ふ位 笑ふ位許してね
守るものは護るさ


【伍、やつつけ仕事(伍分捌秒)】
今作では最もポップで、かつ歌の流れにノリやすい曲。最初にニュースが流れてる音声から始まり、その後に掃除機をウィーーン…って動かす音が!
本当に発想が凄いよね。「あっ、この曲 歌い出し前に掃除機の音入れた方がいいな。」なんて、どういう思考回路をしてたら思い付くのだろうか。マジ一番最初に聴いた時「このCDプレーヤーバグった!?」って慌てたもん。でもこういう遊び心に慣れてしまえばホント「林檎ヲタ」への世界にズブズブはまっていきますからね。奥が深いです(笑)。
前の曲に続いてこちらも色々な意味で「疲弊」が関係してくる曲だけど、重低音とリズミカルなオーケストラのサウンドに癒されて、聴いてて非常に元気が出てきますね。満員電車の中で聴くと結構イイ感じ。押し潰されそうになりながら、(今日は何曜日〜だっけ〜♪然して問題じゃ〜ないか〜♪)なんて。


【陸、茎(參分伍拾秒)】

今回唯一となるシングル曲(の、日本語歌詞バージョン)。この曲を軸としてアルバムを制作していくことを決めてたということで、この中で最も重要な役割を果たしてると言える。
この曲の考察はですね…ごちゃごちゃと勝手に推測するよりも、先程のようにちゃんと雑誌のインタビューから引用した方がいい気がする。ということで↓こちら抜粋。

「この曲には、朝から夜が更けるまでというイメージもあるんですけど、さらに、生まれてから死ぬまでの流れの中で一番、無我夢中で生きる年齢に差しかかってるイメージがある曲なんですよ。
ある意味、人生の中のピークというか、ただ人間らしくイキイキしてる部分というか。それで真ん中なわけですけど、だからといってこの曲だけが特別なわけではない。あくまでも、大きな流れの中の1曲ですね。生まれて、だんだん周りのものが勝手に過ぎていく世代へと成長し、死へと向かっていく過程を表現したかったわけですから。」
(出典:Weekly『ぴあ』2003年2月24日)

…なるほど。深い。大きな流れのなかの、人生のピーク=「茎」…そう考えると確かに、それ以外にほかの言葉が当てはまることなど考えられない、この上なくピッタリと一致するタイトルだものね。
こういう、確固たるテーマがあって、作りたい音楽があって、それを具現化させようと思い立って実現出来ちゃうって、本当に素晴らしいことだと思う。やっぱり音楽家って凄い職業だなぁと改めて思ってしまいますね。。
そしてこの曲、「其の塔なら崩れない」「大事な生命 壱ツだけ だうか持つていかれませぬ様に」という歌詞から分かるように、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を強く意識した曲なのだそう。胸が苦しくなるような歌い出しと、一変して魂を捧げるような安らかなサビ部分、そして力強く行進していくような間奏部分。その一連の展開に凄く圧倒されます。

「泣いたり惑ったり致しませぬ。
立ったら二度と倒れないから。」


【漆、とりこし苦労(貳分參拾陸秒)】
ボイスパーカッションと、それに混ざり合う民族楽器の音が印象的な曲。イヤホンで聴いてると、次々に左右から違う楽器の音が聞こえてくるのでとっても楽しい。思わず体を揺らしながら聴いてしまう。
そして、聴きながら いつも↓この動画を思い出してしまうんだよね。

こちら、2003年8月リリースのDVD「性的ヒーリング〜其ノ参」の特典映像で キャラクターの「林檎ちゃん」がこの「とりこし苦労」を歌うシーンがあるんだけど、それが凄い印象に残っちゃって、この曲聴くとまず「林檎ちゃん」の姿を思い出すようになってしまったのです。とってもシュールで面白い映像なのでお時間ある方は是非ご覧ください(笑)。
(…曲の感想 関係ねぇ)



【捌、おこのみで(伍分肆拾伍秒)】
シンプルなピアノとギターとドラムの音が光るクールな楽曲。メロディの系統とか曲の世界観の感じが割と近年の作風(林原めぐみに楽曲提供してる「薄ら氷心中」「今際の死神」とか、今年すでに話題になってる松たか子 × 満島ひかり × 高橋一生 × 松田龍平の「おとなの掟」)に近いかもしれない。

愛する人は貴方だけ』
是がたつた一時の真事(まこと)で痛くもない
剥いではまた塗つて載く爪(ネイル)
『愛と謂う言葉は不要です』
いとも容易に濡れし此の色目を新しく演出して さぁ何方でも …お好きな様に


【玖、意識(貳分肆拾伍秒)】
「迷彩」と対になる曲。
わぁ、怖いイントロ!
ファッ?!Σ(゜Д゜)
と思いきや歌い出しの声が優しくて
ε-(´∀`*)ホッ...
としたのも束の間、サビに入る前に
「うーそーつーくーなーよ( º言º)」
とか言われて
キャ━━━(艸;Д;il!)━━━ァァ!!!
ってなります(笑)。
間奏部分のカンカンカン!っていう中国っぽい音が印象的。歌詞は「心中」がテーマだそうで、全体的に物騒な雰囲気が漂ってますね。まぁこの曲に関してはそんな深入りしなくていいかな。


【拾、ポルターガイスト(參分肆拾壱秒)】
踏切の音と、通り過ぎてゆく列車の音から始まる。いや、「ポルターガイスト」ってタイトルで踏切の音入れるとかなんか不気味すぎるでしょ…怖い曲なのかな?と思いきや、こちらは正真正銘 優しい曲。
タイトルの意味を考えると分からなくなってくるけど、多分 霊的な何かというよりは、そういう言葉に置き換えた愛の形、とかそういう歌なのかもしれない。ちょっと解釈が難しいんだけど、いまネット見てたら2ちゃんで凄い良い投稿を見つけたのでそのスクショを載せておきます。

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うん。こういうことなのでしょうね。いやー、こういう風に分かりやすく解釈を書いてくれると非常に有難いですね。(丸投げですみません(笑))

「君と君がくれた思い出はどんなに時間がたっても、僕には綺麗で美しくて輝いて見えるんだ」

良いねぇ。この切なさ、愛しさ。メトロノームの音が紡ぐ美しい演奏に包み込まれる、この感じ。とっても好きです。


【拾壱、葬列(伍分拾貳秒)】
さぁ きました!大本命!!邦楽史に残る不思議曲と言っても過言ではないくらいハイパー存在感を放つ曲。今回 記事のタイトルにつけている「“林檎的文学”を紐解く」っていうのも、この曲の謎を解明したかったからで。
まずこの曲の内容に触れる前に一番言いたいことを言いますが。
ラストが!!!!
怖いんです!!!!!!
最後、今までの全ての思いが溢れ出たような凄まじいサウンドと共に音量が勝手に上昇↑↑ 爆音に成り代わったその「音」は噴火を続けながらそのままブツっと突然切れてフィニッシュ!という。聴いたことない人には何を言ってるのかサッパリ分からないと思いますが、つまりそういう恐ろしい要素を含んだ曲なんです。
音量注意!兼、怨霊注意!ですよ。
なんか、スッゴイ不謹慎な例えだけど、お墓があって、そこにダイナマイト置いて爆発させて、鎮まっていた霊達が一斉にブワーッ!って出て来て そこにマイクをスッ…て添えた時に録音されてた音みたいな、ラストの音は本当にそんな感じ。
林檎さんは一体そんな音楽を作って何を言いたかったのか?それこそがこのアルバムの結論であり、全ての答えだと思うんですが。

歌詞。

亡骸に弁護は不要…
何處にも桃源郷が無いのなら、
お造り致しませう。
・生むで廃棄する勇氣
・空を斬つてゆく庖丁(ナイフ)
・今日、胎盤、明日
僕を食しても植わらない理由は
「渾(すべ)て獨りぼつちだから」。
偖(さて)は、こんな輪廻と交際をする業が、
お嫌ひなのでせう、当然です。
未だ何の「建設も着工」してゐない、
白紙に還す予定です。
お顔を。さあ、拝見させて下さい。

「白紙に還す予定です。」…これって、自殺みたいなものだよね。死んで、新しい自分に生まれ変わるのです。そう決意してるんじゃないかな。そんな解釈で良い気がする。
本人から語ることはないけど、きっと「違う自分になりたい」とか吐きだしたい、叫びに近い思いがたくさんあって、それがこの作品で色々な形に変化して、言霊となって、ラストの爆音のように溢れ出したんじゃないかな。それが独特の古文体になって、一つの、「一大絵巻」のような文学作品「加爾基 精液 栗ノ花」が生まれたんじゃないかな、って。
そう考えると、いまや世界から注目されて活躍している彼女の姿はより一層 輝いて見えるよね。

…でも、まぁ、林檎さんってこういうリスナーに色々と解説されたりするのとか結構 嫌がるもんね。こんなところでいいかな、レビューは。…って今まで書いてきた記事の方針を全否定するような終わり方になっちゃうけど(笑)。
でもホント、全部ひっくるめて言うと、本当に遊び心が満載で素晴らしいアルバムだよね。話題にしたいトピックが次から次へと溢れ出てくる。こういうのが正真正銘、本当の名盤なんだよね。やっぱり椎名林檎さんは偉大な方なのである。

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ということで、このアルバムを聴いたことがない方は是非聴いてみてください!オススメです。聴いたことがある方は、最初にも言ったけど、一緒に語りましょう!コメント等々お待ちしております。
では長くなりましたが、これで終わります。ここまで読んで下さった方はありがとうございました!!